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理事長室より

ランドセル俳人の五・七・五(2014年3月17日)

 「理事長室より」も久しく休業状態だった。もうやめたのですか、と聞かれたこともある。そのうちに、と答えてきたが、再開することにした。再開にあたって何を取り上げようかと思案したが、最近の若者は本を読まない、という声をよく聞くので、まず本の話題から始めることにしたい。
 最近読んだ本のなかでいろいろと考えさせられたものに、小林凛『ランドセル俳人の五・七・五』(ブックマン社、2013年4月刊)がある。私がこの本のことを知ったのは、たまたまつけたテレビのTBS系報道特集「いじめと闘う小学生俳人」(2014年2月15日)によってであった。凛君は超低体重児として生まれ、小学校入学時には視知覚に問題があり、日常的に「壮絶ないじめ」に遭った。いじめを受けるなかで、凛君にとっては、幼稚園のころから親しんだ俳句を詠むことが心の支えになったとのことである(『ランドセル俳人の五・七・五』による)。テレビではかずかずの俳句と絵が紹介されたが、ここでは本の副題となっている「いじめられ行きたし行けぬ春の雨」という句をあげておく。報道特集では、この本を題材にして授業を行った三重県の小学校に凛君が招かれた様子も報道された。楽しそうな笑顔で生き生きとして振る舞う凛君の姿が印象的であり、感動的だった。
 このテレビを視たあとで、書店でこの本を購入し、一気に読了した。本には、四季などに区分して俳句が編集され、関連する絵や心境が附せられている。また、母親と祖母によるいじめとの闘い、凛君への励ましの言葉も載せられている。凛君の豊かな感性と鋭い観察眼から生まれた俳句は、秀逸といってよいが、一句だけ紹介するとすれば、9歳のときに朝日俳壇に初入選した「紅葉で神が染めたる天地かな」をあげておきたい。この入選が凛君にとっては大きな励みとなり、自信になったと思われる。
 後日談。「ランドセル俳人卒業と夢と」(『朝日新聞』夕刊、2014年2月25日)によれば、凛君は中学受験に合格し、4月からの新生活を楽しみにしているそうである。そして、記事には、「紅雨とは焼かれし虫の涙とも」などの新作が紹介されている。新たに始まる中学生活が凛君にとって充実したものになることを祈りつつ、句作面での今後の活躍を期待したい。