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理事長室より

学内茶会(2014年6月9日)

 先日の6月3日(水)に茶道部による学内茶会があり、ご案内があったので出席しました。当日は用件が重なり、最終組での茶席でした。正客の席に案内されましたが、準備不足のため正客としての務めを十分に果たすことができませんでした。茶道部指導の高木玉子先生には、無作法をお詫びしましたが、先生からは「来ていただくことが、うれしいことです」とのお声をいただき、ほっとした次第でした。茶事は、茶席のしつらえの説明のあと、着物姿の部員によるお点前で、びわのお菓子とお薄をたいへんおいしく頂戴しました。窓外の雨音と釜から茶碗にそそぐ湯の音だけという静寂な雰囲気のなかでのお点前でした。後で高木先生から「部長のお点前でした、ずいぶん緊張していたようです」との説明がありましたが、日頃の精進をうかがわせる見事な立ち居振る舞いでした。

 始まる前に、隣席の男子学生から「市民の方ですか」と尋ねられ、「いいえ、学内のものです」と答えると、「先生ですか」「いいえ」、「職員ですか」「いいえ、分かりませんか」「はい」という会話がありました。お茶を喫したあとで、高木先生から「理事長、ようこそいらっしゃいました」という挨拶があったので、この学生も私の正体に気づいたようです。聞くと大学2年生ということで、理事長とは接する機会はほとんどありませんので、無理もないことです。大学では理事長はあまり目立たない方がよいとも言われますが、これからも自然体でいるつもりです。

 ところで、茶道に無縁だとはいえ、無作法にならない程度の知識だけは身につけておきたいものと反省しました。孔子の言葉「過ちては則ち改めるに憚ること勿れ」にしたがって、安直ですが早速インターネットから「茶席の作法」などを検索し読んでみました。また、遅きに失した感もありますが、岡倉覚三(天心)『茶の本』(岩波文庫、1929年、改版1961年、英文版1906年)を読みました。この本は、ボストンの地にあった天心が「故郷の昔の恋しさのあまり、茶事の物語にことよせて大和心のやさしい動きをイギリス文字に写し試みた」ものであり、「茶の会に関する閑談やら感想やらを媒介として人道を語り老壮と禅那とを説き、ひいては芸術の鑑賞にも及んだもの」です。この説明は岩波文庫版の「はしがき」によるもので、筆者は岡倉天心の弟で、著名な英文学者である岡倉由三郎で、訳者は岡倉由三郎の門下生の村岡博で、改訂者は村岡博の嗣子村岡博人です。訳文は、翻訳臭がまったくない日本語となっており、現代の若者にも抵抗感なく読めるはずです。内容的には、茶の起源に始まり、道教思想と禅道、中国禅宗での茶の儀式の成立、日本への移入と茶の湯の確立、千利休による茶道の完成、さらに茶室、美術、花に至るまでに及び、100頁にも満たない小著でありながら、茶の思想が深く理解できる名著といえます。
 なお、岡倉天心の「茶の本」は、各国語に訳され世界的に知られており、岩波文庫版は2009年時点で第108刷を数えています。