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理事長室より

「官僚の仕事」(2014年11月4日)

 官僚の中の官僚と言えば、まずは大蔵官僚(現財務官僚)があげられよう。その中でも事務次官まで上り詰めるのは、エリート官僚中のエリートといわれる。そのひとりに武藤敏郎氏(以下、敬称略)がいる。武藤は2000年6月30日に大蔵事務次官に就任し、2001年の省庁再編で財務省に移行し、2003年1月14日まで財務事務次官を務めた。現在は大和総研理事長、2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会事務総長として活躍している。その武藤の「日本経済 激動と向き合う」という回顧談が『日本経済新聞』夕刊(2014年10月20日~10月24日)に掲載された。
 武藤は官僚人生を振り返って、「長く公職にあって、武器と呼べるものは説得力しかありません。大臣ら政治家が相手でも、納得できないなら主張はすべきです。決断が下れば、従うのは当然ですが」。「主張するには論理を研ぎ澄ますのが第一ですが」、「自分は正しくてあなたは間違っている、と言わんばかりの説明も良くない。論理を大事にすればするほど、相手の立場も尊重する謙虚さが求められます。つまりは人間力でしょう。」と語っている。
 武藤は、小学校で先生から「努力が大事」「人に誠実に接する」など倫理観の根本をたたき込まれた、という。このような倫理観が武藤の「人間力」を培う上で役立ったことだろう。また、このような倫理観が、武藤の官僚人生における「最大の危機」を救うことになった。1998年1月に、金融機関からの過剰接待事件(いわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件)で、大蔵省は東京地検特捜部の強制捜査を受けた。武藤は官房長として事件に対処したが、当時の橋本龍太郎首相から「君はクリーンなのだから、実態を徹底調査し、きちっと処分するのが官房長の職責だ」と命じられた。大蔵省は厳正な処分を下し、武藤も5月に総務審議官に降格された。しかし、武藤は99年に主計局長に、その翌年に事務次官に昇任したのである。
 このような人間力や倫理観は、昨今の様々な事件を見るにつけても、官僚にとってだけでなく、広く職業人の身の処し方においても極めて大事なことである、とつくづく思う今日この頃である。