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理事長室より

「今年の重大ニュース」(2014年12月24日)

 毎年、年末になると、各メディアが「今年の重大ニュース」などを発表する。今年はまだ発表はないようだが、朝日新聞は土曜日のbeランキングとして「2014年の重大ニュース」を発表した(『朝日新聞』2014年12月20日be版)。調査方法は、朝日新聞デジタルの会員を対象に11月下旬にアンケートを実施し、回答者は1874人(男性57%、女性43%)だった。2014年1月~11月中旬にあった国内外の主なニュース66本を編集部から提示し、強く印象に残ったものをいくつでも選ぶという方法で行った。
 アンケート結果の10位までは、1位「STAP細胞」真偽騒動、2位御嶽山の噴火、3位消費税8%スタート、4位ソチ五輪フィギュアで羽生が金、5位青色LED発明の3氏にノーベル賞、6位エボラ出血熱感染者が拡大、7位韓国旅客船が沈没、8位錦織圭がテニスの全米オープンで準優勝、9位マレーシア航空機が消息不明に/別機は撃墜される、10位俳優の高倉健さん、死去、であった。1位の「STAP細胞」真偽騒動は、科学論文の作成過程、科学論文の公表と検証、理化学研究所の管理運営体制など多くの課題を大学や研究機関等に突き付けた。そして、たいへんあと味の悪い結末となった。理研は、どうして撤回されることになった論文による新発見を発表したのか、STAP細胞の正体は何かなどの問題について、その全容を検証し、その結果を公表する義務がある。そのことが、日本の科学技術の未来にとって極めて重要である、と考えるからである。

 さて、大学の方に目を転じると、今年の重大ニュースにはどんなことがあったのだろうか。私個人が重大と考えることをあげてみた。もっとも強く感じたことは、「大学が選ばれる時代」になったということである。
 文部科学省は、2016年度から、全国の86国立大学を「世界最高水準の教育研究を目指す大学」「特定分野で世界的な教育研究を目指す大学」「地域活性化の中核となる大学」の3グループに分類し、グループ内で高い評価を得た大学に、運営費交付金を手厚く配分することを明らかにした(『日本経済新聞』2014年12月18日付)。このような方針はすでに試行的に実施されている。本年9月、文科省は「スーパーグローバル大学」として、応募した国公私立大学104校から37校を選んだ。「スーパーグローバル大学」には、世界ランキング100位以内を目指す「トップ型」(13大学、うち国立大学11校)と日本の国際競争力向上に貢献する「グローバル化牽引型」(24校、うち国立大学10校)とに分かれる。これを今回発表の国立大学分類基準に重ねれば、「トップ型」は「世界最高水準型」に、「牽引型」は「特定分野型」にほぼ合致するといえる。86校から21校を引いて残る65の国立大学は「特定分野型」を目指すことになると思われるが、多くは「地域活性化の中核」の枠内で競争を展開することになる。
 こうした大学の類型化は、2005年1月の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」のなかで、大学の機能類型として、(1)世界的研究・教育拠点、(2)高度専門職業人養成、(3)幅広い職業人養成、(4)総合的教養教育、(5)特定の専門的分野(芸術、体育等)の教育・研究、(6)地域の生涯教育の拠点、(7)社会的貢献機能という7つの型が提示され、各大学が、自らの選択により、緩やかに機能別に分化することが求められた。本学は大学としての決定は行っていないが、選択可能な類型は、(3)幅広い職業人養成と(7)社会的貢献機能にほぼ限定されているとみてよかろう。各大学はこれからどのような方向を選ぶかという決定を迫られることになる。
 結論的にいえば、日本の大学は、国立大学の3類型及び大学の7機能類型の組み合わせの中から、大学側の選択・申請に基づくとはいえ、結局のところ、文科省の査定・選択によって大学のランク付けが行われ、そのランク付けが大学の財源と受験生の大学選択に大きく影響することになる。
 大学にとっては2018年問題がある。18歳人口はこの10年間はほぼ横ばい状態にあったが、2018年度から再び減少に転じる。18歳人口は18年度118万人から31年度には100万人を切って99万人になると予測されている。受験生から選ばれない大学の淘汰が本格化するとみられる。それに合わせるかのように、大学入試方法の改革が行われる。12月22日、中央教育審議会は、2020年度から新大学入試を実施するという大学入試改革などに関する答申を提出した。現在行われている大学入試センター試験の後継として、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を導入するという。このテストは、知識・技能だけでなく、思考力、判断力、表現力を問う方式、教科の枠を超える「合教科・科目型」「総合型」の出題、解答方式に一部記述式の導入、試験回数の複数化、「1点刻み」ではなく段階別表示による成績提供など大幅な改革となる。また、各大学の個別選抜に関しても、多面的な選抜方法をとることとし、知識だけでなく、特定分野の能力などについても評価することを求め、面接、プレゼンテーション、活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書などの具体的な評価方法を示した。さらに19年度からAO・推薦入試にも使える「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を新しく始める。このような入試方法などの改革は、大学入試及び高校教育の在り方に抜本的改革を促すことになろう。
 前述の2018年問題が進行する中で、新しい入試改革が実施されると、大都市の有力大学に優れた志願者が集中し、その他の大学の淘汰が急速に進むことになろう。多くの大学にとって、今まで以上に受験生から大学が選ばれる時代となり、大学改革がますます喫緊の課題となるであろう。