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理事長室より

「国立大学の組織等の見直しの考え方・方向性について」(2015年7月6日)

 平成27年6月8日付けで、文部科学省より各国立大学法人等に通知された「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(文部科学大臣決定)が論議を呼んでいる。見直しの内容は多岐にわたるが、とくに論議を呼んでいるのは、「ミッションの再定義」を踏まえた組織の見直しとして、「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、・・・・組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする」としている点である。

 国立大学は来年度からの6年間の中期目標案を6月末までに文科省に提出することになっており、文科省はその中期目標案に各大学の機能強化の方向性として、(1)世界最高の教育研究の展開拠点、(2)全国的な教育研究拠点、(3)地域活性化の中核的拠点という3つの方向性からひとつを選択するとともに、今回の通知で、重視する取組について明確な目標と検証の指標を設定することを求めている。

 今回の通知に対して、国立大学、大学関係者、産業界、有識者、メディアをはじめ社会の反応は様々である。国立大学協会会長の里見進・東北大学長は6月15日の記者会見で、文科省の方針は「非常に短期の成果を上げる方向に性急になりすぎていないか危惧している。大学は今すぐ役に立たなくても、将来大きく展開できる人材をつくることも必要です」と文系学部の必要性を強調した(毎日新聞6月19日東京夕刊)。また、京都大学の山極寿一学長は6月17日に「京大にとって人文社会系は重要だ」「幅広い教養と専門知識を備えた人材を育てるためには人文社会系を失ってはならない」との考えを示した(京都新聞6月17日配信)。佐和隆光・滋賀大学長は「昨今の文部科学行政は産業競争力会議の意向がほぼ完璧に反映されて」いるが、「欧州では人文科学系の学識が指導者にとって必須の素養と目されている。・・・・昨今、文科省が唱える「思考力・判断力・表現力」を養うには人文社会系の学識が不可欠」だと反論した(日本経済新聞6月22日)。石弘光・一橋大元学長は、この通知は「国立大学法人評価委員会の検討結果を踏まえたもので、・・・・政府主導の大学改革の色彩が濃厚となっている」としたうえで、「「社会に役立つ」ことは、職業訓練学校に求めるべきで大学に求めるものではない」、大学は「普遍的に人類の存立・発展、社会経済システムの基盤のために知の創造・伝承を行う場である。人文社会科学こそが、まさにその基礎を築くことになる」。「今般の人文社会科学の組織見直しについて、まず大学が自主的に問題点を整理し、必要に応じて改革に乗り出すべき責任があろう」と結んでいる(日本経済新聞6月29日)。

 新たな組織改革については、すでに高知大学では地域協働学部、長崎大学は多文化社会学部、山口大学は国際総合学部を自主的に立ち上げている(各大学HP)。さらに、宇都宮大学では地域デザイン科学部の創設(2016年度予定、毎日新聞5月26日)、滋賀大学は「社会的要請の高い分野」として「データサイエンス学部の創設(2017年度予定)」を目指している(前掲佐和隆光、日本経済新聞6月22日)。また、これらの大学では人文社会科学系を強化しつつ、社会のニーズに応えるべく新たなチャレンジが始まっているのである。

 今回の通知などは国立大学を直接の対象としているが、文科省の大学政策の基本的な方向性を示しており、公立大学・私立大学にとっても対応を迫られていると考えるべきである。本学は、本年度より新しいカリキュラムを実施したばかりであるが、現在検討中の大学入試センターに代わる新しい入試制度改革にあわせた入試制度の対応も含めて、トータルな教学改革に取り組むことが必要となろう。