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理事長室より

平成27年度卒業式祝辞(2016年3月25日)

 下関市立大学の平成27年度卒業式にあたり、理事長として祝辞を申し上げます。卒業生並びに修了生の皆さん、本日はご卒業・修了おめでとうございます。また、これまで皆さんを支え、励ましてこられたご家族・保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

 多くの皆さんが本学で過ごした4年間は、日本にとっても世界にとってもまれにみる激しい変化の時期でした。例えば、国境・民族を巡る紛争、今回のパリ、ブリュッセルの自爆テロなどの世界政治の混迷と混乱、日本では日銀のマイナス金利導入に示される経済低迷などなどです。
 このような政治・経済の混乱・低迷は、21世紀に相応しい政治・経済システムの構築が未だ実現していないことを端的に示していると考えています。ここでは、平成27年にホッとな話題となった東芝の不正会計・経営危機の問題と人口減少社会における地方創生という2つのことを取り上げてみましょう。

 東芝では、近時の歴代3社長が社内で「チャレンジ」と称する「収益改善圧力」をかけ、損失の先送りなどによる巨額の利益水増しという不正会計が行われました。「打出の小槌」ともいうべき「チャレンジ経営」でした。実は東芝では、かつて「チャレンジ経営」が行われたことがあります。昭和40年(1965年)頃、東芝は減配続きであり、その立て直しを託されたのが土光敏夫・当時の石川島播磨重工業社長でした。東芝社長に就任した土光の経営改革を支えたのが「チャレンジ経営」です。土光社長の「チャレンジ経営」は、例えば、ある事業部が目標を達成できなかったとき、その説明を要求することがチャレンジであり、相手がそれにこたえることがレスポンスであり、社長と社員とが同格の立場で「チャレンジ・レスポンス」を行うという「ディスカッションシステム」によって、問題解決を図ったのです。そして、この土光改革によって東芝の業績はV字回復を遂げました。同じ「チャレンジ経営」でも、かつては問題解決であり、今回は問題先送りという真逆のものでした。
 皆さんも問題解決型の学びを経験したことがあると思いますが、これから様々な問題・課題に直面することでしょう。その時には、ぜひ土光流の「チャレンジ経営」を参考にして、チャレンジとレスポンスという対話を通じて知恵を絞って、真の問題解決に取り組んで下さい。

 つぎに人口減少問題ですが、この問題は日本の社会への深刻な問いかけとなっています。2015年国勢調査の速報によれば、1920年の調査開始以来、初めての人口減少であり、このまま少子化が進行すれば、2040年代半ばには1億人を割り込むとされています。また、2015年に刊行された『地方消滅』(中公新書)では、このまま推移すれば、2040年までに全国の市町村の半数が消滅する可能性があるというショッキングな報告が出されました。これを受けて、政府・自治体をあげて地方創生に取り組み、地域においてもまち・むらづくりに取り組んでいるところです。
 本学は「地域課題に向き合い地域社会の担い手となりうる人材の育成」を第2期中期計画(平成25年度~30年度)で掲げています。本学は、多くの地方から入学者を迎い入れ、多くの地方に送り出してきました。ちなみに本年度の卒業生の就職状況では、Uターン率が40%台となっております。Uターン率とは、卒業生の就職先が出身高校と就職先本社とが同じ都道府県である人数が全体の就職者に占める比率です。このように、多くの本学卒業生が各地域において活躍しており、地方創生に大いに貢献してきています。この点は公立大学として本学の長い伝統のなかで築き上げてきた成果であり、今後も地域課題に取り組む人材の育成に努めていきたいと考えています。

 さて、皆さんを待ち受けているのは、多くの諸課題を抱えた社会であります。不透明な未来に向かって、皆さんが頼りにするのは、勉学やサークル活動など本学での学生生活で得たものだと思います。そこで、私からは、卒業生、修了生の皆さんの新しい門出にあたって、はなむけとして次の言葉を贈ります。「見せましょう、下関市立大学の底力を。見せましょう、下関市立大学卒業生の底力を。」という言葉です。

 このフレーズを聞いたことのあるひとも多いと思います。東日本大震災発生から間もない2011年4月2日、東日本大震災復興支援試合の前に、東北楽天ゴールデンイーグルスの選手会長だった嶋基宏選手が「見せましょう、野球の底力を。見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を。」と呼びかけました。この言葉に、東日本大震災の被災者の皆さんからたいへん励まされた、というレスポンスがあったと伝えられています。
 卒業生・修了生の皆さん、本学で学び身に付けたものに、さらに磨きをかけた皆さんの「底力を見せましょう」。それぞれの持ち場において、逆境にあってもあきらめないで、その「底力」で未来を切り開いてください。皆さんのこれからのご活躍を期待するとともに、将来が実り多きことを願って、祝辞といたします。

平成28年3月25日          
公立大学法人 下関市立大学   
理事長 荻野 喜弘