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理事長室より

平成28年度卒業式祝辞(2017年3月25日)

 下関市立大学の第52回卒業式にあたり、理事長として祝辞を申し上げます。卒業生並びに修了生の皆さん、本日はご卒業と修了おめでとうございます。また、これまで皆さんを支え、励ましてこられたご家族・関係者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

 皆さんは、卒業式という本学での最後の日を感慨深く正門を入ったことでしょう。その時、正門右手の桜の花に気づいたひとも多かったと思います。この桜は、昭和41(1966)年、今から51年前に本学の第一期生として卒業された皆様が下関市立大学創立60周年記念として寄贈され、本年2月10日に植樹されたばかりの「陽光桜」です。この陽光桜は、「天城吉野」と「台湾緋桜」との交配によって作出され、農林水産大臣から桜としては全国で初めて1981年に種苗(しゅびょう)登録147号として登録されたものです。これからも長く卒業生の門出を祝して咲き続けてくれることでしょう。

 さて、多くの皆さんが本学で過ごした4年間は、日本にとっても世界にとってもまれにみる激しい変化の時期でした。
 今年度だけをとってみても、世界を見渡せば、EU難民問題とイギリスのEU離脱、トランプアメリカ大統領の誕生、引き続く中東の混乱、韓国のパク大統領の罷免、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発の脅威など不透明な政治的状況が続いています。国内に眼を転じますと、日銀のマイナス金利導入に伴う金融機関の経営不振、大企業のガバナンス問題、例えば、東芝の経営危機、三越伊勢丹社長の突然の辞任、出光興産と昭和シェルの合併問題への創業家の介入、セブン&アイホールディングスのトップ人事を巡る創業家の関与などが注目されましたが、その背後には経済・市場の構造変化への対応という大きな問題があると思われます。先年『地方消滅』というショッキングな題名の書籍が警告を発した人口減少問題は、その後の地方創生事業の取組にもかかわらず、地方の人口減少は続き、地方再生は依然として重要課題であり続けています。

 皆さんを待ち受けている社会は、このように多くの諸課題を抱えた社会であります。この不透明な未来に向かって、皆さんが頼りにすることができるのは、勉学やサークル活動など本学での学生生活で得たものだと思います。卒業生アンケートによれば、大学で身につけた能力を高い順に5位まであげますと、コミュニケーション能力、常識的な能力、プレゼンテーション能力、専門的な能力、豊かな教養となっています。このような能力を身につけた学生生活の満足度については、同じく5位まであげると、友人との交流、教師の教育姿勢、教育内容、ゼミ等少人数教育、就職支援となっております。これらのアンケート結果は、卒業生の自己認識によれば、授業やゼミなどを通じて、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、専門的な能力、豊かな教養を身につけ、サークルや友人との交流を通じて、コミュニケーション能力、常識的な能力、豊かな教養を身につけたといえましょう。卒業生の皆さんは、学生生活を通して、社会人としての基礎力を十分に身につけておられます。皆さん、自ら選択した道を自信をもって着実に歩んでください。

 最後に、私からは、卒業生、修了生の皆さんの新しい門出にあたって、はなむけとして「日々に新たに」という言葉を贈ります。これは中国の古典『大学』にあるもので、全文は「まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」です。この言葉は、かつて東芝の再建を果たした土光敏夫元東芝社長の座右の銘でした。土光さんは、「今日なら今日という日は、・・・・みな平等にやってくる。そんな大事な一日だから、もっとも有意義に過ごさなければならない。そのためには、今日の行いは昨日より新しくよくなり、明日の行いは今日よりもさらに新しくよくなるように修養に心がけるべきである」(土光敏夫『私の履歴書』)と受け止め、精進したそうです。どうか皆さんも一日一日を大切にしてください。その積み重ねが皆さんの未来を切り開いてくれることでしょう。
 皆さんのこれからのご活躍を期待するとともに、将来が実り多きことを願って、祝辞といたします。

平成29年3月25日          
公立大学法人 下関市立大学   
理事長 荻野 喜弘