4. IT産業の人材現況と両地域の経済補完性
〜関門地域と韓国南地域を対象にして
:韓国の情報通信関連人材の現況〜(一次報告)

崔  東 術

1 は じ め に

 1997年に東アジアを苦しめた経済危機以降、韓国の政府は経済を立て直すために、情報通信関連産業(付録を参考)とその人材の育成に集中的に力を入れてきた。90年代のアメリカのIT好況の影響で、韓国でも98年、99年、2000年にITブームが引さ起こされた。政府はベンチャー育成を支援するための資金とその支援センターを設けて積極的にその育成を進める一方で、急激に人材が必要になるという予想のなか、政府は全国の大学に関連学科の設置を推し進めて、ほとんどの大学にIT関連の学科が設けられた。他方、ITブームのなかで将来を考えている親と学生の間に情報通信関連学科への進学が人気を集めた。このようにして、アメリカ発のIT革命という時代の流れのなかで、経済危機を乗り越えるためにはIT関連の人材育成が必要だと唱える政府と、学生数の減少が始まり大学の経営に大きな問題を抱えている大学側、そして危機の時代を生きている親と学生の三者の間で思惑が絡み合い、97年経済危機以降、IT関連の学科が急激に増え、その人材が豊富に排出するようになって来たのである。
 一方、韓国ではITブームとともにインターネットヘの関心が高まり、2001年末インターネットを利用している人口は2,438万名(全人口の約60%)(「インターネット利用者数及び利用形態調査要約結果報告書」韓国インターネット情報センタ、2002.1)で非常に早いペースで増えてきた。家庭へのPC普及率は76.9%で、そのなかでインターネット利用可能な家庭は82.3%に上っている。速度が速い専用線(21.7%)、ADSL(56.8%)、ケーブル(13.1%)を全体の91.6%が設置している。E−mailの保有率も84.4%でインターネット・メールの一般的な利用が見られている。
 このようなITブームのなかで政府の政策によりインターネットのインフラが進められて、その利用者が急激に増え、情報通信関連のビジネスの環境が大きく変わってきた。このようななかで、国民の関心が高まり、IT関連産業への道を歩もうとする人が増えてきた。大学では定員割れの非IT関連学科が多いが、IT関連学科の入学競争は年々激しくなってきている。
 本報告では、政府と大学が推し進めてきた、IT関連人材育成政策がどのようなものであったのかを検討したい。その現実は決してばら色ではない。ITブームに乗って、はとんどの大学でIT関連学科を開設し、大勢に学生が集まった。しかし、卒業生の進路を検討してみると、その就職率の低さに驚く。韓国のビジネス環境の厳しさから見て、就職していない人たちがベンチャーを起こしているとは考えにくい。そして、韓国では地域間の人材と賃金の格差が非常に大きいのである。
 ここでは大学・大学院卒の人材の排出状況と卒業後の進路状況、そして、その人材の地域間の賃金格差を主に検討することにしたい。

2 大学卒人材の輩出現況と卒業後の進路1)

(1) 輩出現況
 大学卒の人材の排出状況とその卒業後の進路について見てみよう。2001年情報通信関連学科の卒業生は38,592名で、機器関連学科から19,959名、ソフトウェアー関連学科から11,842名、通信関連学科から3,709名、その他から3,082名が卒業した。系列別に見ると機器関連学科のコンピュータ系列と通信機器系列、ソフトウェア関連学科の電算処理系列が大きい比重を占めている(表1)。

表1 情報通信関連学科別、系列別卒業人数

分 野系 列卒業人数(名)比率(%)
機器関連学科素子・部品系列
3,019
7.8
コンピュータ系列
6,105
15.8
通信機器系列
10,835
28.1
ソフトウェア
関連学科 
統計系列
3,202
8.3
電算処理系列
4,892
12.7
情報管理系列 
3,748
9.7
通信関連学科 通 信 系 列
311
0.8
情報通信系列
3,143
8.1
電波通信系列
255
0.7
そ の 他その他系列
3,082
8.0
 計
38,592
100.0

 学科別に見ると、機器関連学科では、コンピューター工学科が4,489で一番卒業生が多く、続いて電子工学科3,880名、電気工学科1,417名の順になっている。ソフトウェア関連では、経営情報学科が1,768名で一番多く、次に電子計算学科1,489名、コンピューター科学科926名の順になっている。通信関連では、情報通信工学科が2,267名で一番多く、次に情報通信学科415名の順になっている。その他は電子電気コンピューター工学部が547名、産業工学科290名、デジタル経営学部209名の順になっている。
 地域別に見ると、ソウル所在の大子の卒業生は8,788名で、地方所在の大学の卒業生は29,804名になっている。特に、韓国の南地域の光州/全南地域は2,630名、釜山/蔚山/慶南地域は6,353名になっている。両地域で全体の23.2%を占めている。かなりの人数が南地域で輩出されているとがわかる(表2)。

(2)卒業後の進路
 2001年情報通信関連学科の卒業生の55.5%が就職11.6%が進学、1.1%が兵役、その他が31.7%になっている。これは2000年度(就職52.9%、進学13.8%、兵役2.1%)、1999年度(就職48.0%、進学17.9%、兵役2.0%)、1998年度(就職42.8%、進学16.1%、兵役2.9%)、1997年度(就職58.0%、進学14.9%、兵役4.5%)に比べると、少しは就職率が良くなっているように見られるが、依然として低い就職率を見せている。その他は自ら事業を起こしている人もいるかもしれないが、ほとんどが未就職の状態だと言えるだろう。
 しかし、非情報関連学科を含めた全体的な就職率に比べると、上記のIT関連学科は非常に高い就職率であることも事実である。2002年1月現在、大学全体の就職率は非常に低い状態である。平均的にいうと、ソウル大学が44.4%(全体の平均であるので、非情報関連学科だけはもっと低くなるはずである)、ソガン大学(ソウル所在)が43.1%、地方の釜山大学(釜山市所在)が19.1%、全南大学(光州市所在)23.6%になっている2)
 情報通信関連学科の就職状況をより詳しく検討してみよう。まず分野別には、機器関連学科が55.4%、ソフトウェア-関連が56.0%、通信関連が57.1%である。系列別に見ると、機器関連学科ではコンピューター系列が62・6%、ソフトウェア関連学科では情報管理系列が59.8%、通信関連学科では通信系列が65.9%として就職率が一番高くなっている(表2)。
 一方、学科別に見ると、機器関連の素子・部品系列で半導体学科の就職率(73.1%)が最も高く、コンピューター系列ではコンピューター工学部が68.0%で一番高い。通信機器系列では制御機械工学科(95.7%)とシステム制御工学部(81.5%)とが高い就職率を見せている。素子・部品系列のセラミックス半導体材料工学科14.6%、航空材料工学科21.6%、コンピューター系列のコンピューター工学教育科12.5%が最も低い就職率を見せている。大学院への進学は素子・部品系列の半導体科学科が51.6%、コンピューター系列のコンピューター制御工学科が37.5%として高い進学率を見せている。
 ソフトウェア関連学科を見ると、統計系列の電子統計学科が84.7%で一番高い就職率を見せ、電算処理系列のソフトウェア学科87.9%、情報電算工学科85.7%の順になっている。情報管理系列では産業情報学科が76.0%の就職率を見せている。
 通信関連学科を見ると、通信系列の海洋電子通信工学部75.0%、情報通信系列の航空通信情報工学科62.8%、電波通信系列の電波通信工学科77.0%、電波工学科55.2%の就職率を見せている。大学所在地別に見ると、ソウル所在の大学が59.7%であるのに村して、地方所在の大学は54.3%の就職率を見せている。なかでも光州/全南地域が48.7%、釜山/蔚山/慶南地域が54.7%を見せ、ソウルに比べ相対的に低い就職率であることがわかる(表3)。

表2 系列別卒業後の進路

分  野系  列卒業生(名)就職率(%)進学率(%)兵役(%)その他(%)
機器関連学科素子・部品系列
3,019
47.0
19.3
1.6
32.0
コンピュータ系列
6,105
62.0
10.4
1.1
26.5
通信機器系列
10,835
54.1
12.8
1.3
31.8
ソフト ウェア
関 連 学 科
統 計 系 列
3,202
48.1
10.7
0.8
40.4
電算処理系列
4,892
58.4
8.4
0.6
32.7
情報管理系列
3,748
59.8
5.2
0.8
34.2
通信関連学科通 信 系 列
311
65.9
7.4
2.3
24.4
情報通信系列
3,143
55.9
9.7
0.8
33.6
電波通信系列
255
60.4
20.4
2.0
17.3
そ  の  他その他系列
3,082
52.2
18.2
1.9
27.7
合 計
38,592
55.5
11.6
1.1
31.7

表3 2001年度大学卒の人材現況

-入学者卒業者卒業後の進路
就 職進 学兵 役その他
地 域 別ソウル
19,989
8,788
5,243
1,231
110
2,204
地 方
58,875
29,804
16,180
3,259
331
10,034
ソウル
19,989
8,788
5,243
1,231
110
2,204
仁川/京畿
10,352
6,489
3,525
1,046
95
1,823
江  原
4,057
1,520
825
135
14
546
忠  北
3,053
1,873
1,076
190
13
594
大田/忠南
11,804
4,344
2,568
483
53
1,240
全  北
3,808
2,022
926
148
22
926
光州/全南
4,483
2,630
1,280
183
31
1,136
大邱/慶北
9,242
4,428
2,412
520
58
1,438
釜山/蔚山/慶南
11,375
6,353
3,476
543
42
2,292
済  州
701
145
92
11
3
39
設立形態国共立
18,512
9,979
5,530
1,161
110
3,178
私  立
60,352
28,613
15,893
3,329
331
9,060
専攻系列機器関連学科
26,017
19,959
11,063
2,601
261
6,034
 素子部品系列
5,572
3,019
1,419
584
49
967
 コンピュータ系列
7,858
6,105
3,783
634
68
1,620
 通信機器系列
12,587
10,835
5,861
1,383
144
3,477
SW関連学科
11,423
11,842
6,635
948
85
4,174
 統計系列
2,676
3,202
1,540
344
25
1,293
 電算処理系列
4,011
4,892
2,855
409
30
1,598
 情報管理系列
4,736
3,748
2,240
195
30
1,283
通信関連学科
7,077
3,709
2,117
380
36
1,176
 通信系列
642
311
205
23
7
76
 情報通信系列
6,354
3,143
1,758
305
24
1,056
 電波通信系列
81
255
154
52
5
44
その他その他関連学科
34,347
3,082
1,608
561
59
854
合  計
78,864
38,592
21,423
4,490
441
12,238

3 2001年修士・博士の人材輩出の現況

(1) 2001修士卒業の現況
 2001年情報通信関連学科の修士過程の総卒業者は4,174名で、機器関連2,736名、ソフトウェア関連899名、通信関連300名、その他239名になっている。
 系列別に見ると、機器関連学科では通信機器系列が1,547名、ソフトウェア関連学科では電算処理系列が506名で一番多い。通信機器系列が総卒業者の37.1%、電算処理系列が12.1%、素子・部品系列が16.3%を占め、三つの系列だけで全体の約65%を占めている(表4)。

表4 系列別情報通信関連卒業生の現況−修士(単位:名,%)

分  野系  列卒業者(名)比 率(%)
機器関連学科素子・部品系列
681
16.3
コンピュータ系列
508
12.2
通信機器系列
1,547
37.1
ソフトウェア
関連学科
統 計 系 列
234
5.6
電算処理系列
506
12.1
情報管理系列
159
3.8
通信関連学科通 信 系 列
20
0.5
情報通信系列
225
5.4
電波通信系列
55
1.3
その他関連学科そ の 他 系 列
239
5.7
4,174
100.0

 卒業後の進路を見てみると、卒業者のなかで12.2%(508名)がその他になっている。大学卒業者に比べると、高い就職率、高い進学率を見せている。韓国の南地域の光州/全南地域のその他は24.6%、釜山/蔚山/慶南地域は10.2%を見せている(表5)。

表5 2001年度修士人材の総括(単位:名)

-入学者卒業者卒業後の進路
就 職進 学兵 役その他
地 域 別ソウル
1,896
1,472
1,143
186
10
133
地 方
3,384
2,702
1,912
365
50
375
ソウル
1,896
1,472
1,143
186
10
133
仁川/京畿
701
629
398
69
45
117
江  原
86
52
41
5
0
6
忠  北
239
179
143
18
1
17
大田/忠南
572
312
232
34
1
45
全  北
156
121
86
21
0
14
光州/全南
289
224
154
14
1
55
大邱/慶北
644
606
418
129
1
58
釜山/蔚山/慶南
665
557
428
72
0
57
済  州
32
22
12
3
1
6
設立形態国共立
1,728
1,420
1,099
168
4
149
私 立
3,552
2,754
1,956
383
56
359
専攻系列機器関連学科
2,022
2,736
2,026
407
10
293
 素子部品系列
451
681
477
99
5
100
 コンピュータ系列
498
508
398
78
0
32
 通信機器系列
1,073
1,547
1,151
230
5
161
SW関連学科
745
899
678
99
4
118
 統計系列
134
234
160
25
0
49
 電算処理系列
438
506
377
69
4
56
 情報管理系列
173
159
141
5
0
13
通信関連学科
559
300
231
30
2
37
 通信系列
29
20
20
0
0
0
 情報通信系列
527
225
164
24
1
36
 電波通信系列
3
55
47
6
1
1
その他その他関連学科
1,954
239
120
15
44
60
合  計
5,280
4,174
3,055
551
60
508

 学科別に見ると、その他の比率は機器関連が10.7%、SW関連が13.1%、通信関連が12.3%を見せている。その他は個人的にビジネスをはじめていることが考えられないわけでもないが韓国のビジネス環境を考えると、その可能性は非常に低く、ほとんどが未就職の状態であることが容易に推測できる(表5)。

(2) 2001年博士卒業の現況

 2001年情報通信関連学科の博士過程の総卒業者は833名(82.7%)で機器関連689名(14.8%)、ソフトウェア関連123名(0.7%)、通信関連6名、その他15名になっている系列別に見ると、通信機器系列が一番多く52.7%を占めている(表6)。

表6 分野・系列別卒業生の現況−博士(単位:名,%)

分  野系  列卒業者(名)比 率(%)
機器関連学科素子・部品系列
120
14.4
コンピュータ系列
130
15.6
通信機器系列
439
52.7
689
82.7
ソフトウェア
関連学科
統 計 系 列
38
4.6
電算処理系列
30
3.6
情報管理系列
55
6.6
123
14.8
通信関連学科通 信 系 列
0
0
情報通信系列
6
0.7
電波通信系列
0
0
6
0.7
その他関連学科そ の 他 系 列
15
1.8
833
100.0

 卒業後の進路を見ると、その他が全体の11.6%で、ソウルの4.2%に比べると地方(13.5%)の方がその比率が高くなっている。大学卒業者に比べると、修士・博士の卒業者の就職率が非常に高いことがわかる(表7)。

表7 2001年度博士人材の総括(単位:名)

-入学者卒業者卒業後の進路
就 職進 学兵 役その他
地 域 別ソウル
345
168
154
5
2
7
地 方
820
665
494
77
4
90
ソウル
345
168
154
5
2
7
仁川/京畿
149
428
283
65
4
76
江  原
20
7
7
0
0
0
忠  北
55
32
31
0
0
1
大田/忠南
96
20
17
1
0
2
全  北
48
12
11
0
0
1
光州/全南
85
31
31
0
0
0
大邱/慶北
206
70
64
2
0
4
釜山/蔚山/慶南
149
65
50
9
0
6
済  州
12
0
0
0
0
0
設立形態国共立
444
140
119
12
0
9
私  立
721
693
529
70
6
88
専攻系列機器関連学科
448
689
537
63
5
84
 素子部品系列
106
120
82
20
0
18
 コンピュータ系列
101
130
100
9
5
16
 通信機器系列
241
439
355
34
0
50
SW関連学科
146
123
95
17
1
10
 統計系列
28
38
35
0
0
3
 電算処理系列
89
30
26
1
0
3
 情報管理系列
29
55
34
16
1
4
通信関連学科
116
6
6
0
0
0
 通信系列
13
0
0
0
0
0
 情報通信系列
100
6
6
0
0
0
 電波通信系列
3
0
0
0
0
0
そ の 他その他関連学科
455
15
10
2
0
3
合  計
1,165
833
648
82
6
97

 韓国の人材状況を見ると、高級人材である修士・博士は人数において豊富とはいえないが、就職率が高く、大学卒の人材は過剰状態であり、その就職率が低いことがわかる

4 情報通信技術人材の現況

 2001年1/4分期「情報通信部門雇用動向2001.6」(韓国情報通信産業協会)によると、2000年末基準で韓国情報通信の技術人材の数はおよそ84万名で、その中で情報通信産業部門で勤めている人材は12万名、情報通信関連部門である情報通信工事業と流通業に勤めている人材17万名、そして、その他産業部門に勤めている情報化人材は54万名と推定されている(表8)。

表8 業種別情報通信技術人材の現況(単位:名)

業   種情報通信技術人材数
情報通信産業
129,621
 情報通信サービス
 情報通信機器
 S/W及びコンピュータ関連サービス
48,838
35,057
45,726
情報通信関連産業171,175
 工 事 業
 流 通 業
63,948
107,227
その他産業554,995
 製 造 業
 電気,ガス及び水道事業
 建 設 業
 卸・小売及び消費者用品修理業
 宿泊及び飲食店業
 運輸,倉庫及び通信業
 金融及び保険業
 不動産,賃貸及び事業サービス業
 教育サービス業
 保険及び社会福祉事業
 その他,公共,社会及び個人サービス業
90,010
1,736
17,384
72,159
16,768
73,393
48,732
157,251
32,509
4,660
30,393
合  計845,791

資料:韓国情報通信産業協会「2001年1/4分期情報通信部門雇用動向」2001.6

 経歴別に見ると、5年以上10年末満の経歴を持つ専門人材が25.5%で最も高い比重を占め、次に3年以上5年末満が23.3%、1年以上3年末満22.0%を占めている。10年以上の専門人材も15.5%を見せている。1年末満の比重は13.7%でもっとも低くなっているが、それは新卒者の低い就職率と密接に関係していると思われる。会社は即戦力で使える人材を求めていることから、経歴が浅い人材の比重が低くなっているとも考えられる。

表9 経歴・学歴別情報通信技術人材の現況(単位:名,%)

区  分高  卒専門大卒大学卒修士・博士
1 年 末 満9,855
(8.2)
32,445
(15.4)
60,555
(13.7)
12,861
(17.6)
115,716
(13.7)
1年以上3年未満21,873
(18.2)
45,928
(21.8)
99,010
(22.4)
19,016
(26.1)
185,827
(22.0)
3年以上5年未満34,012
(28.3)
52,249
(24.8)
99,452
(22.5)
11,434
(15.7)
197,147
(23.3)
5年以上10年未満31,848
(26.5)
50,353
(23.9)
114,480
(25.9)
19,000
(26.1)
215,681
(25.5)
10 年 以 上22,594
(18.8)
29,706
(14.1)
68,511
(15.5)
10,609
(14.5)
131,420
(15.5)
120,182
(100.0)
210,681
(100.0)
442,008
(100.0)
72,920
(100.0)
845,791
(100.0)


5 地域別、等級別S/W技術者の賃金現況

 韓国S/W産業協会が発表した「2001年S/W技術者賃金実態調査結果」を見てみると、地域別に、等級別に人材人数と賃金の格差が非常に大きいことが分かる。
 S/W関連管理人材、営業人材、技術人材、その他の支援人材をすべて含めて総従業員数は全国的に102,525名で、このなかで71,524名がSI企業に勤めている。次にはパッケージS/W開発供給業(12,062名)、ソフトウェア関連サービス業(10,860名)、ソフトウェア受託開発業(8,079名)順で従業員数が多い。地域別に見ると、ソウルに全体の79%である80,773名が勤め、光州市3,611名(3.5%)、釜山市1,432名(1.4%)になっている。

表10 地域別S/W関連従業員数(単位:名)

地  域システム統合事業S/W受託開発事業Package S/W
開発供給事業
S/W関連
サービス事業
ソ ウ ル56,0076,98610,0597,72180,773
京  畿4,8291743895635,955
忠  北132385378301
忠  南2941032104440
全  北3392260207628
全  南196332077326
慶  北969193292521,569
慶  南3556053416884
江  原2336130107431
済  州10829412153
仁  川1,63257941171,900
大  田1,2852403711722,068
蔚  山6687948141936
釜  山4161383175611,432
大  邱687591512211,118
光  州3,37474521113,611
71,5248,07912,06210,860102,525


 賃金の現況を地域別に見ると、技術者の殆どが集まっているソウルの初級技術者の平均月給が2,169,138ウォン、釜山は1,488,767ウォン、光州は1,372,975ウォンで、ソウルと地方とが非常に大きな賃金格差を見せている。(表11)(表12)(表13)
 このような賃金格差が技術者のソウルヘの集中を引き起こす要因でもあるが、日本側から見ると、地理的に非常に近い韓国の南地域の人材を安い人件費で活用できる可能性をも秘めていると思われる。

表11 ソウルの情報通信関連技術者の賃金

 技 術 士特級技術者高級技術者中級技術者初級技術者
人  数3684,0755,81610,52823,854
平均日給201,336193,479154,026121,44286,766
平均月給5,033,3954,836,9763,850,6463,036,0442,169,138
平均年俸60,400,74358,043,71646,207,74936,432,52926,029,659

表12 釜山市の情報通信関連技術者の賃金

 技 術 士特級技術者高級技術者中級技術者初級技術者
人  数750103205481
平均日給110,940145,007114,53972,45759,551
平均月給2,773,4953,625,1712,863,4771,811,4171,488,767
平均年俸33,281,93543,502,05334,361,72421,736,99817,865,204

表13 光州市の情報通信関連残術者の賃金

 技 術 士特級技術者高級技術者中級技術者初級技術者
人  数0164075188
平均日給0132,53989,98976,11954,919
平均月給03,313,4692,249,7201,902,9851,372,975
平均年俸039,761,62626,996,64422,835,81916,475,704

6 ま と め

 以上、韓国の情報通信関連の人材現況を検討してきたが、その特徴としては、次のことが言えるだろう。
 1.情報通信関連の専門知識を学んだ初級の人材が豊富である。
 2.韓国内の高級人材(修士・博士級)の供給が相対的に少なく、大学卒に比べると高い就職率を見せている。
 3.企業において即戦力で使える経歴者の比重が高いということは、新卒者の低い就職率につながっている。
 4.情報通信関連の人材はソウルに集中しているとともに、その賃金の地域間の格差が非常に大きい。
 さらに、専門知識を持っている人材の就職率が非常に低いこと、地方、特に韓国の南地域で大勢に人材が輩出されていること、南地域が地理的に日本と非常に近いところであること、そしてソウルと南地域との人材の賃金格差が非常に大きいこと、この四つを考慮すると、韓国の南地域と日本の関門地域との交流或いは情報通信関連ビジネスを展開することにあたって、その人材を有効に活用できるのではないだろうか。
 実際に韓国の人材を有効に活用しようとする試みがすでに動き出している。日本の人材派遣会社が韓国に目を向けて、幾つかの会社がすでにソウルに事務室を開いている(いち早く人材派遣会社パソナがソウルに1997年に進出している)。
 韓国は専門知識を持っている人材が豊富であるだけではなく、日本にとってはメリットがある。ひとつは何より地理的に近いということである。仕事をうまく進めるためには直接会って話をすることも必要で、メンテナンスに早く対応するためには近いことが大きなメリットになる。もうひとつは今のインターネット時代に合う人材を安い人件費で活用できることである。インターネットの環境とその知識のレベルでは世界でかなり高い水準を保っており、その専門知識を持っている人材が、すでに検討したように豊富に輩出されている。その人材の賃金の地域格差が非常に大きく、日本に近い韓国の南地域は非常に安い人件費の人材が豊富である。第3には、言葉と文化が非常に似ていることである。韓国人は同じ漢字圏であることのほかにも韓国語と日本語は語順がほぼ一緒であることから、日本語の習得においてほかの国の人に比べて多くのメリットを持っている。早い人の場合は日本で3ケ月はど学ぶことで基本的に会話ができる。お互いに文化を理解しやすい上に、言葉を早く習うことができるので、仕事を順調に進めやすくなる。
 このような人材状況とメリットを考慮すると、関門地域と韓国の南地域との経済交流におけるひとつの環境はすでに整っていると思われる。両地域間で物の流通は活発になっているが、人材の交流はいまだに活発に行われていないことが現状である。

(注 記)
1)韓国情報通信産業協会が全国143個大学を対象に大学卒の人材の状況を2001年に実施した。その結果は、2001年12月に「2001年情報通信産業技術人材需給実態調査」として報告されている
2)『東亜日報』、2002年1月21日付の記事「危機の韓国大学−地方大学入学定員を満たすことが難しい」

(付 録)情報通信産業の分類体系

情報通信産業
区    分細 部 事 項
情報通信サービス基幹通信サービス 有線通信サービス
 無線通信サービス
別定通信サービス 設備保有再販売
 設備未保有再販売
 構内通信サービス
付加通信サービス 高度ファクス
 データ・ネットワークサービス
 付加通信網サービス
 オンライン情報処理
 音声電話情報サービス
 注文型情報サービス
 その他付加通信サービス
放送サービス 地上波放送
 有線放送
 衛星方法
 その他放送
情報通信機器通 信 機 器 有線通信機器
 無線通信機器
情 報 機 器 コンピュータ本体
 コンピュータ周辺機器
放 送 機 器 地上波放送送受信機器
 有線放送送受信機器
 放送局用機器
 放送機器部分品
部      品 能動部品
 受動部品
 器具部品
 その他部品
ソフトウェア及び
コンピュータ関連
サービス
Package S/W システム S/W
 応用開発道具
 応用 S/W
 その他 Package S/W
Computingサービス 一括システム統合サービス(SI)
 Program 開発サービス
 システム管理及び維持補修
 資料処理
 その他 Computingサービス
 マルチ・メディア・コンテンツ開発サービス
 Database 製作


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