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5 グローバル化と地域経済
〜関門地域・韓国間における貿易と経済交流〜
1 はじめに
現代世界経済のトレンドは、グローバリゼーションの進展である。地域経済に関してもこのグローバル化の流れは不可欠な動きである。身の回りの商品から、企業の海外進出、地場産業の景気状況に至るまで、世界経済の動向に左右されている。
東アジア1では、直接投資を軸とした生産ネットワークが拡大しており、関門地域がそのネットワークの中に組み込んでいくようにすることが関門地域の生産力形成に寄与するものと思われる。
今後、東アジアを中心としたヒト・モノ・カネの動きと情報化の波はさらに急速さを増すであろう。このような潮流のなかで、地方においてもグローバルな国際化戦略の構築が急務となっており、如何に地域経済活性化を目指す関門地域と更なる発展を目指す東アジア経済との接点を見出すかが重要である。その際、地域政策を明確にした上ではじめて韓国との経済交流を如何に構築すべきかを考えるべきである。
「国際化」2というコトバ自体には様々な捉え方があるであろう。本論では、関門地域と韓国との貿易の側面から分析を行っていきたい。また、2001年9月に行った韓国現地調査での韓国産業の現状に関しても言及したい。
2 世界経済のグローバル化と地域経済
(1) 世界経済とグローバル化
1990年代の世界経済に関して特筆すべき点は、グローバリゼーションの進展である。『通商自書』(通商産業省[2000]、59頁)によると、「経済のグローバル化とは情報化の進展を背景にして各経済主体によって地球規模での経済性が追求され、地球上の経済活動が情報、金融、人材、技術、貿易や投資などあらゆる面で一層緊密に関連し合うこと」と定義している。
グローバル化の進展に加えリージョナリズムという動きが同時進行しており、これまでとは異なる形での競争と協調という動きが進展し始めている。すなわち、ヒト・モノ・カネ・技術・情報が国境を越えて移動するようになり、世界の一体化が進んでいる一方、各国の国益がぶつかり合うと同時に、地域経済連携強化の動きが起きている。
(2) リージョナリズムの現状
リージョナリズムといわれる流れは、細かく以下の三つに分類することができよう。第一に「地域経済統合」という動きである。EU・NAFTA・ASEANなどの形成などがそれらに含まれ、地理的近接性という性格を併せ持つ点が特徴である。
第二に、二国間協定に代表される「自由貿易協定」である。GATTに通報された自由貿易協定数は、1990年代に入って大幅に増加しており、国際経済体制下での大きなトレンドといえる3。地理的側面よりむしろ機能性を重視している点が特徴である。1999年12月のWTO閣僚会議での、新ラウンドの協議分野決定がなされなかったことで、各国・各地域における自由貿易協定での市場確保と規模の経済の実現を開始している。東アジアについても、2001年1月にシンガポール・ニュージーランドの自由貿易協定が発効されたのを筆頭に、2001年11月に入って、中国とASEANとの間で自由貿易協定を模索しようという動きが生まれてきている。日本も、シンガポールとの間での自由貿易協定締結や、韓国との研究機関による民間レベルでの研究を行うなど新たな動きが生まれてきている。
第三に「局地経済圏」である。国家内あるいは国家間で、異なる地方が何らかの協定や関係を樹立することにより、特定の発展を共にはかること。諸国家・諸地方の連携によって、既存の国境にかかわりない独自の地域を形成する動き(西川[2000]、17頁)である。自然発生的動きである点が特徴である。北東アジア地域における動きとして、環黄海経済圏構想や環日本海経済圏構想が挙げられる。EU内部では現実に、積極的な地域間交流や地方分権化も進展している。
| | 地 域 |
| 環黄海地域 | 日本(九州、山口)、中国(遼寧、河北、山東、江蘇省、北京市、天津市、上海市)、韓国(全羅北道、全羅南道、慶尚南道、仁川市、大田市、光州市、釜山市) |
| 環日本海経済圏 | ロシア極東地域、中国東北3省(遼寧、黒龍江、吉林省)、北朝鮮、韓国、日本海沿岸地域道府県 |
| 華南経済圏 | 中国広東省、福建省、海南省、香港、台湾 |
| インドシナ経済圏 | タイ、ヴェトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア |
| 成長の三角地帯 | シンガポール、インドネシア、マレーシア |
「出所」経済産業省九州経済産業局[2001]に加筆。
(3)地域経済を取り巻く環境変化
世界経済と地域経済の現状の関係は、「国家の枠組みを超える広域化と国家内部での地域分化」(富樫[1997]2頁)といえ、グローバル化と地方分権という国内外の変化に即した明確なビジョンの構築が不可欠である。
地域経済に関してもグローバル化の流れは不可欠な動きである。身の回りの商品から、企業の海外進出、地場産業の景気状況に至るまで、世界経済の動向に左右されている。東アジアは、直接投資を軸とした生産ネットワークが拡大しており、関門地域がそのネットワークの中に組み込んでいくようにすることが関門地域の生産力形成に寄与するであろう。今後、東アジアを中心としたヒト・モノ・カネの動きと情報化の波はさらに急速さを増すと予想される。このような潮流のなかで、地方においてもグローバルな国際化戦略の構築が急務となっており、如何に地域経済活性化を目指す関門地域と更なる発展を目指すアジア経済との接点を見出すか、すなわちグローバル化の潮流を地域経済活性化に生かすことが重要である。
同時に今後、国内における「地方分権」の流れが進むことを考慮に入れると、地方の活性化・競争力増強が望まれる。「一部の地域の住民生活を犠牲にした「国民経済」の繁栄や「国策」の優先論は、成り立たなくなっているといえる。どの地域の住民であれ、人間として生きていくために、自分たちの地域の経済のあり方や社会のあり方を自ら決定していく時代(岡田他[1997]iv頁)」の到来である。井上[2000]は、グローバル化を通じた地域経済活性化に関して、「まずグローバル世界の中でそれぞれの地域特性を把握し、それを踏まえつつ、地元各界の合意を得ながら、地域経済の将来像を描いておくことが前提となる。それができれば、あとはその方向に沿って・・・さまざまな方策を、それぞれの効果を考えながら組み合わせて実施していくことになる。それが、各地域それぞれにとっての「地域国際化戦略」(49頁)」であると示している。
国際化を地域経済活性化とつなげるという点において、関門地域の地域特性を考慮に入れると、貿易と製造業が挙げられる。また、地理的条件から、韓国をはじめとした東アジア地域との近接性が挙げられる。本年は、韓国との貿易という視点から分析を行っていくことにしたい。
3 関門地域と韓国間の貿易動向4
(1) 下関・北九州・福岡の貿易構造
まず、環日本海貿易と環黄海貿易の結節点である門司港・下関港と他の近隣港の状況に関してみてみたい。ここでは、博多港と福岡空港を比較対象として取り上げることにしたい。図表2、3は、下関港・門司港・博多港・福岡空港の輸出・輸入総額の推移を示している。
輸出について言えるのは、福岡空港の急激な伸びと博多港の着実な伸びである。一方、門司港・下関港に関して見てみると、経済のグローバル化の進展に応じて着実に伸びてはいるものの、博多港・福岡空港のそれには及ばない。特に、福岡空港は半導体関連輸出の比率が高い。また、博多港の取扱量が近年増加している理由としては、ブリジストンやホンダ、九州松下電器といった九州に工場を持つ企業の輸出が増えていることがその要因として挙げられる5。造船業や製鉄業に加え、半導体や半導体製造関連品といった九州の産業構造を反映したもの(経済産業省九州経済産業局[2001])が中心となっている。
一方、輸入に関しては、全体的に着実な伸びを示していることがわかる。九州の貿易において特徴的な点は、鉄鋼・半導体分野における相互依存関係が進んでいる点であるすなわち高付加価値製品を九州から輸出する一方、汎用製品を中国・韓国から輸入するといった「棲み分け」が進展している(経済産業省九州経済産業局[2001])。
これらのことから、「ストロー効果」によって物流をはじめとして福岡市に一極集中している現状を示しているといえよう。
図表2 輸出額の推移(単位:100万円)
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
図表3 輸入額の推移(単位:100万円)
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
図表4 韓国への輸入額の推移(単位:100万円)
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
図表5 韓国からの輸入額の推移(単位:100万円)
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
(2) 下関港と韓国との貿易動向
1.概 況
下関港の輸出額は、韓国向け輸出の増加が寄与したことで、1998年以降再び増加基調にある一方、輸入は横ばいで推移している。
輸出に関してみると、輸出品では、一般機械や電気機器のウェイトが増加している。また、下関の産業構造を反映し、輸送機器である船舶、ゴムタイヤ及びチューブや非鉄金属といった原料別製品の輸出も行われているが、原料別製品のウェイトは低下している。国・地域別についてみると、下関港の輸出に占める韓国の割合は、2000年で74.9%と太宗を占めている。貿易 相手国としての韓国との深い関係をあらわしている。
図表6 下関港の品目別輸出額の推移(単位:100万円)
| | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
| 輸出総額 | 201,595 | 243,983 | 185,072 | 222,110 | 335,386 |
| 対韓貿易の割合 | 62.0 | 65.7 | 51.0 | 69.4 | 74.9 |
| 食料品及び動物 | 1,999 | 2,823 | 2,591 | 6,150 | 8,782 |
| 飲料及びタバコ | 7 | 9 | 20 | 0 | 11 |
| 食料に適さない原材料 | 4,883 | 4,733 | 3,253 | 2,150 | 1,381 |
| 鉱物性資源 | 29 | 58 | 42 | 36 | 162 |
| 動植物性油脂 | 1 | 8 | 5 | 3 | 3 |
| 化学製品 | 18,284 | 18,299 | 15,695 | 18,782 | 21,159 |
| 原料別製品 | 67,032 | 70,837 | 66,530 | 64,188 | 62,744 |
| 機械類及び輸送機器 | 100,236 | 138,560 | 81,435 | 106,511 | 189,002 |
| 一般機械 | 42,498 | 62,825 | 22,164 | 48,841 | 106,873 |
| 電気機器 | 39,528 | 55,888 | 38,833 | 45,979 | 56,529 |
| 半導体等電子部品 | 16,850 | 35,818 | 15,904 | 10,804 | 17,772 |
| 輸送用機器 | 18,210 | 19,847 | 20,439 | 11,691 | 25,601 |
| 船 舶 | 16,855 | 17,201 | 16,524 | 10,050 | 24,597 |
| 雑製品 | 7,643 | 6,727 | 13,264 | 21,414 | 44,809 |
| 特殊取扱品 | 1,746 | 1,531 | 2,236 | 2,875 | 7,335 |
図表7 下関港の地域別輸出動向
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
輸入に関してみると、輸入品では、電気機器、衣類・同付属品や精密機器類といった雑製品のウェイトが高まっている。ただし、電気機器でもICは数量価格ともに低下している。門司税関管区内においては、福岡空港におけるIC輸入が数量価格ともに増加させており、福岡空港にシフトしているものと考えられる。
国・地域別についてみると、2000年の韓国からの輸入額は2512億円で、1995年の1206億円に比べると、額自体は2.1倍の伸びを示しているとおり、輸入額自体は増加基調にある一方、輸入額に占める対韓貿易の割合は、1995年の81.1%から2000年には73.8%と低下している。これは、中国からの輸入急増が影響しているといえる。中国からの輸入額についてみると、1995年には160億円であったが、2000年には413億円と急激に増加している。下関港の輸入に占める中国の割合も、6.1%(1995年)から14.3%(2000年)とその比率を高めている。2000年実績では、韓国と中国を合わせて90%弱を占めていることで、貿易相手国としての韓国と中国との関係が深まってきている。
図表8 下関港の品目別輸入額の推移(単位:100万円)
| | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
| 輸入総額 | 271,107 | 272,165 | 252,949 | 261,281
| 289,096 |
| 対韓貿易の割合 | 79.3 | 76.1 | 74.8 | 73.5 | 73.8 |
| 食料品及び動物 | 101,346
| 94,993
| 89,022 | 85,31 | 84,421 |
| 飲料及びタバコ | 7 | 19 | 9 | 6 | 11 |
| 食料に適さない原材料 | 7,690
| 10,074 | 8,687 | 9,170 | 9,255 |
| 鉱物性資源 | 3,196 | 4,388 | 1,699 | 3,702 | 10,496 |
| 動植物性油脂 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 化学製品 | 4,162 | 3,051 | 2,730 | 2,458 | 2,866 |
| 原料別製品 | 18,73 | 23,072 | 17,616 | 19,151 | 19,566 |
| 機械類及び輸送機器 | 60,744 | 71,595 | 63,891 | 62,900 | 87,907
|
| 一般機械 | 9,067 | 11,805 | 11,790 | 13,301 | 16,118 |
| 電気機器 | 50,808 | 58,966
| 51,566 | 49,044 | 71,181 |
| 音響・映像機器 | 17,843 | 23,392 | 20,657 | 25,507 | 44,050 |
| 半導体等電子部品 | 20,390 | 22,907
| 19,773 | 13,673 | 16,519 |
| IC | 14,136 | 16,182 | 13,106
| 7,579 | 8,803 |
| 雑製品 | 74,984 | 63,787 | 67,662 | 77,549 | 73,051
|
| 特殊取扱品 | 901 | 1,187 | 1,633 | 913 | 1,520 |
「出所」門司税関『外国貿易年表』
図表9 下関港の地域別輸入動向
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
2.韓国との貿易動向(付表1)
下関港と韓国との2000年の貿易額は、輸出が2512億円と過去最高を記録した。輸入は2133億円と1997年以来増加に転じた。これまでの下関港と韓国との貿易の動向は、1999年までは輸入超過の状態が続いていたが、次第に貿易赤字幅が減少していき、2000年の対韓国貿易収支は3800万円の黒字に転じた。ただし、下関港の国・地域別貿易動向をみると、韓国との貿易の割合は徐々にではあるが低下している。
下関港の韓国への輸出額であるが、2000年の日本の韓国への輸出額は3兆3088億円であり、これに占める下関港の割合は7.6%を占めている。2000年の輸出品目であるが、一般機械(金属加工具・旋盤)・電機機器・精密機器類(半導体関連)などの輸出が多い。一般機械が構成比で40%を占めており、次いで電機機器(21%)、精密機器類(16%)の順となっている。1990年及び1995年の主な輸出品目と比較してみると、一般機械、電機機器、精密機器といった製品のウェイトが高まっている。
韓国から下関港への輸入額に関してみると、2000年の日本の韓国からの輸入額は2兆2047億円であり、これに占める下関港の割合は9.7%と約1割弱を占めている。ここで、2000年の輸入品目を、衣類・同付属品、魚介類・野菜6などの比率の高い1990年及び1995年の輸入品目と比較してみたい。2000年の輸入品目では、電機機器、特に音響映像機器の増加が大きく7、電子機器のウェイトが増加してきており、27%を占めている。一方、衣類及び同付属品の割合が、1990年の29%から2000年には13%と低下している。したがって、韓国から下関への輸入は、1.魚介類・果実及び野菜といった農水産物、2.衣類、3.一般機槻や電機機器といった製品がメインであることを示している。
3.下関港の貿易構造に関する特徴−関釜フェリー
下関港は、韓国との貿易の割合が非常に高いが、この要因の一つとして、関釜フェリーの存在があるといえよう。博多・釜山間のカメリアラインが週3日の運航に対して、関釜フェリーは毎日運航であることから、第一に、生鮮食品や多品種少量の衣料品の輸送に強みがある。第二に、必要なときに必要な部品を投入可能であり、しかもコンテナ船に比べて時間も正確である(例えば、韓国ソニー電子向け部品の融通)8。第三に、伝統があり二国間を輸送する貨物輸送と顧客を押さえているという点が大さい9。第四にハイテク製品をはじめとした高付加価値製品の輸送である。これは、フェリーはゆれが少なく、高付加価値の工業製品の輸送に適しており、「フェリー輸送は、物流品質の高い輸送形態(山崎[2001]50頁)といえる。したがって、下関港は他港に比べると輸送重量が少ない反面、金額が大きい。
現代世界経済下において、企業間競争の激化に伴う国際的な最適地生産(国際分業)が進展している。これに伴い、IT技術の進歩も相侯って、ロジスティツクの質的な変化が生じている。一例としてサプライチェーンマネジメント(SCM)が挙げられる。低価格化・低コスト化、短納期化、多品種少量生産(カスタマイゼーション)への移行といった市場からの要請にこたえるため、SCMを企業が採用している。上述した第2、第4の点を考慮に入れると、下関港(関釜フェリー)がSCM等の物流システムの中に組み込まれている現状を示しているといえよう。
(3) 門司港と韓国との貿易動向
1.概 況
門司港の輸出額は、横ばいで推移している一方、輸入額は1997年をピークに減少していたものの、貿易関係の深い韓国や中国からの輸入増加に伴い、2000年には再び増加となった。
輸出品に関しては、一般機械、電気機器、鉄鋼やゴムタイヤ及びチューブを含む原料別製品、有機化合物やプラスチックといった化学製品の比率が高い。ただし、産業構造の変化を反映して、一般機械や電気機器といった製品のウェイトは高いが、原料別製品や化学製品のウェイトが低くなってきている。国・地域別にみてみると、韓国・中国・ASEAN4向けが1990年には2割を占めていたが、2000年には4割を占めており、輸出における東アジア地域のウエイトが高まってきている。
図表10門司港の品目別輸出額の推移(単位:100万円)
| | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
| 輸出総額 | 433,043 | 407,035 | 330,621 | 333,516 | 365,584 |
| 対韓貿易の割合 | 16.0 | 13.7 | 10.0 | 11.9 | 14.9 |
| 食料品及び動物 | 2,269 | 1,940 | 1,947 | 2,088 | 1,519 |
| 飲料及びタバコ | 130 | 283 | 105 | 83 | 99 |
| 食料に適さない原材料 | 3,452 | 5,931 | 7,642 | 5,351 | 5,044 |
| 鉱物性資源 | 1,464 | 1,344 | 1,087 | 618 | 1,590 |
| 動植物性油脂 | 154 | 149 | 200 | 87 | 148 |
| 化学製品 | 83,960 | 78,663 | 69,823 | 60,983 | 64,578 |
| 原料別製品 | 101,056 | 98,252 | 80,861 | 70,695 | 68,810 |
| 機械類及び輸送機器 | 230,974 | 207,433 | 156,680 | 182,154 | 210,615 |
| 一般機械 | 122,651 | 126,186 | 91,819 | 103,981 | 125,819 |
| 電気機器 | 55,868 | 48,519 | 45,910 | 47,018 | 57,627 |
| 輸送用機器 | 52,456 | 32,728 | 18,951 | 31,156 | 20,169 |
| 自動車の部分品 | 14,941 | 14,270 | 10,864 | 19,989 | 20,211 |
| 雑製品 | 6,910 | 9,692 | 9,563 | 8,065 | 9,245 |
| 特殊取扱品 | 2,673 | 3,376 | 2,713 | 3,392 | 3,935 |
図表11 門司港の地域別輸出動向
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
図表12 門司港の品目別輸入額(単位:100万円)
| | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
| 輸入総額 | 411,309 | 439,076 | 391,409 | 377,396 | 400,729 |
| 対韓貿易の割合 | 15.8 | 13.0 | 15.1 | 18.4 | 18.2 |
| 食料品及び動物 | 52,038 | 56,114 | 56,921 | 52,547 | 45,017 |
| 飲料及びタバコ | 321 | 104 | 190 | 141 | 160 |
| 食料に適さない原材料 | 73,179 | 79,362 | 61,292 | 53,557 | 50,520 |
| 鉱物性資源 | 5,661 | 4,826 | 3,477 | 5,358 | 5,008 |
| 動植物性油脂 | 828 | 1,293 | 878 | 1,150 | 1,000 |
| 化学製品 | 35,396 | 38,173 | 34,346 | 27,486 | 30,932 |
| 原料別製品 | 77,599 | 89,627 | 70,882 | 64,155 | 71,867 |
| 機械類及び輸送機器 | 37,480 | 56,664 | 58,820 | 73,085 | 96,822 |
| 一般機械 | 10,985 | 16,813 | 19,333 | 33,521 | 49,870 |
| 電気機器 | 20,751 | 32,467 | 32,226 | 32,273 | 38,013 |
| 雑製品 | 126,354 | 110,926 | 101,206 | 97,246 | 96,285 |
| 特殊取扱品 | 2,453 | 1,985 | 3,399 | 2,671 | 3,118 |
「出所」門司税関『外国貿易年表』
図表13 門司港の地域別輸入動向
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「出所」門司税関『外国貿易年表』
輸入品に関しては、一般機械、電気機器、原料別製品のウェイトが高い。ただし、原料別製品や化学製品のウェイトが低くなってきている。国・地域別にみてみると、中国からの輸入が急増している。中国からの輸入額は、1990年は253億円であったが2000年には1605億と6.3倍の伸びを示している。しかもその比率は、9.1%(1990年)から40.1%(2000年)と4割を占有するまでにそのウェイトが高まっている。ちなみに、1995年と2000年における門司港の輸入総額は、図表3にもある通り、それほどの差がなく、中国からの輸入増加が門司港の輸入増加要因となっている。
2.韓国との貿易動向(付表2)
門司港と韓国との2000年の貿易額は、輸出が543億円と1998年以来増加に転じた。これまでの門司港と韓国との貿易の動向は、1996年までは輸入超過の状熊が続き、1996年に一旦貿易黒字を記録したものの、再び輸入超過となっている。ただし、2000年は韓国向け輸出が増加したことで、貿易赤字幅は縮小した。また、門司港の国・地域別貿易動向をみると、韓国との貿易の割合は横ばい傾向にある。
2000年の輸出品目についてみると、一般機械が48%とほぼ半分の比率を占めている。1990年及び1995年と比較してみると、一般機械や電機機器が占める割合が増加している一方、有機化合物や鉄鋼といった素材のウェイトが低下してきている。
2000年の輸入品目であるが、一般機械が42%を占めており、そのウェイトを高めている。しかし、衣類及び同付属品の比率は1990年には57%と半分以上を占めていたにもかかわらず、2000年には21%とそのウェイトを低下させている。したがって、一般機械や電気機器をはじめ化学製品などで韓国との水平分業が進展していることを示している。
(1) 関門地域における貿易構造の変化
1.水平分業の進展
近年の下関港、門司港と韓国との貿易構造の特徴と今後の課題を示しておきたい。第一に、水平分業の形成である。それは、半導体をはじめとした電気機器や一般機械ばかりではなく、化学製品や鉄鋼にもいえる。韓国との水平分業の進展や中国の経済的台頭を考慮に入れると、環黄海圏をはじめとした地域間での連携が重要となってくる。なぜならば、「日韓は鉄鋼で世界生産の18.5%、自動車で25.4%、半導体では36.5%、造船に至っては80%を握る生産パワーである。技術を共有することで、これまでのような韓国の無謀な投資・価格破壊を抑制し日韓の市場支配力を確立したはうが、どちらが安く生産できるかを競うよりはるかにに収益に貢献する(深川[1999])」からである。
2.中国の経済的台頭に伴う対韓貿易トレンドの変化
第二に、中国の経済的台頭に伴う韓国からの下関港・門司港の輸入構造の変化である。例えば、繊維製品(衣類・同付属品)の輸入構造についてみてみたい。下関港では1990年に衣類・同付属品が韓国からの輸入全体の約3割を占めていたが中国への生産移転により、2000年には、輸入額は1990年の1/3に減少している。輸入全体に占める割も13%となっている。門司港においても、1990年に衣類・同付属品が約6割を占めていたが、1996年に中国からの輸入が韓国からのそれを上回った。
図表14衣類・同付属品の輸入推移(単位100万円) 図表14を見る
「出所」門司税関『外国貿易年表』
3.輸出入貨物量の増加と地場経済
第三に、輸出入貨物量の増加と地場経済への波及効果である。ここで、門司税関『輸出入貨物の物流動向調査結果』10を参照することで、下関港、北九州港、博多港における輸出入貨物の物流動向(金額ベース)についてみてみたい。
輸出品の生産地別シェアでみると、北九州港は福岡県(63.7%)山口県(21.4%)、博多港は福岡県(49.9%)、熊本県(28.2%)をはじめ近隣地において生産されている。一方、下関港は生産地が全国(山口県(42.5%)、関東(18.4%))に分散している。
輸入品の消費地別シェアでみると、北九州港は福岡県(57.8%)山口県(16.7%)、博多港は福岡県(67.8%)をはじめ近隣地において消費されている。下関港は福岡県(22.4%)、東京都(14.0%)において主に消費されている一方、山口県のシェアは12.4%であり消費地も全国に分散している。
輸出先シェアで下関港が韓国向けでの物流集積の全国的な地位を確保している一方、地場のシェアが博多港や北九州港に比べ低い。確かに、日韓の産業経済圏の中で、物流ルートとして重要な役割を果たしている一方、地元経済への波及効果が限定的であることを示している。したがって、如何に地域経済活性化を目指す関門地域と更なる発展を目指す東アジア経済との接点を見出すかが重要であり、下関地域の地場企業の国際競争力の向上、国際化戦略の構築が重要である理由がここにある11。
日本では空洞化への懸念といった課題が多い中、如何に韓国や中国といった近隣諸国と補完的に経済活動を行っていくか、如何にコアコンピタンスを確立するかということを検討していくことが重要であるといえよう。関門地域はこれまでも製造業が中心であった。技術が集積しているこの地域の技術資源を如何に堅持していくべきかが問われている。それと同時に、地場企業とインフラが結びついてこそはじめて「地域の国際化」といえ、東アジア地域との近接性という地の利を生かした生産拠点としてのあり方が問われている。この点から、近隣の韓国を含んだ関門地域における製造業の位置づけを明確にした産業発展の方向が求められる。そのためには、「一方的な貿易ではなく、双方向の貿易をいかに拡大できるかが重要(高木[2001]85頁)」といえる。
(2) 小 括
グローバル化とリージョナリズムが同時進行することで「競争と協調」が進んでいる現代世界経済下において、地方都市間でネットワークを構築することは意義がある。例えば、韓国・大田広域市は、世界の科学都市間の交流促進のためのWTA(world Technopolis Association)(世界科学都市連合)を1998年に設立し(加盟は18国37地域)、地域・企業間のネットワーク形成・交流を行えるシステムとなっている。多国間の国際協力機構で、世界の科学都市間での交流協力の増進を目指したものである12。利害が一致する地域同士の産業協力という機能性を重視したネットワーク形成の一例であるといえよう。地方都市がこのような場を通じてビジネスチャンスや技術協力交流を進めることは、地域産業ひいては地域経済の活性化に寄与するところが大きい。正しく、地域経済の中に「国際化」を取り入れる為の一つの方法であり、WTAはその仕掛けを提供してくれている。すなわち「情報のハブ機能」的役割を果たしている。
井上[2000]が、地方の国際化について、「日本の多くの地域では、「地域の国際化」を行政上の理念的な目標の1つに掲げ、姉妹都市・友好県交流を進めたり、国際的なイベントを催したり、空港・港湾を整備したりしてきた。しかしそこでは、国際化を地域経済の活性化につなげていこうとする戦略が必ずしも明確でなく、むしろ他の自治体との「横並び意識」や公共事業予算への期待といった次元でことが進んできた傾向が強い(49頁)」と指摘しているように、国の政策で横並びの地域発展の時代は終った。今後は特化によって地域が何らかの特徴を持つ事が必要である。既存の産業・地域の特徴を生かす事で、如何なる特色のある独自の地域政策を示せるか、そしてその独自色をどのように「国際化」に繋げていくかが今後の地方の生さ残りのあり方であるといえよう。
(注)
1「東アジア」という表現は、一般にさまざまな解釈・使用がされているが、本論文においては、NIEs・ASEAN及び中国を総称する表現として用いる。NIEsは、韓国、台湾、香港及びシンガポールの4か国、地域を指す。ASEANは、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ヴェトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10か国を指す。ASEAN4とは、このうちタイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアのことを指している。
2「国際化」と「グローバル化」の解釈に関して菅原[1999]は、「国際化とはあくまでも国家の存在を前提としているが、グローバル化とは、国家の存在を超えてまさに地球が一体となっていくプロセス(232頁)」と示している。
3 ちなみに、1948年から1994年の間にGATTに通報された「地域経済統合」と「自由貿易協定」の数は124件であった。1995年のWTO設立以降、財やサービスを包含した100以上の「地域経済統合」と「自由貿易協定」が新たにWTOに通報された。世界中の「地域経済統合」と「自由貿易協定」のネットワークは今や複雑化しており、多くの国々がいくつかの協定の加盟国となっている(WTO Official HP, "Regionalism in the WTO".
(At: http://www.wto.org/english/tratop_e/region_e/regfac_e.htm 及び
http://www.wto.org/english/tratop_e/region_e/region_e.htm より)。
4 本章における下関港・門司港・博多港・福岡空港の貿易は、すべて関門管内の税関統計をもとにしている為、下関・北九州の企業の貿易実績でも、下関・北九州以外の地域での通関によるものは含まれていない。
5『朝日新聞』2001年5月12日、『朝日新開』2001年1月28日より。
6 下関港と生鮮品に関して言えば、2000年の韓国からの青果物輸入は1999年の約2倍に達した。このため、薫蒸庫の大型化やコンテナバースの補強などの設備増強、365日即日通関といった情報のネット発信を行っている(『日本経済新聞』2000年10月13日)。
7 森[2001]は、関釜フェリーの定時性と物流コストの有利性から、1999年秋以降、パソコンや映像機器の輸入通関地を成田空港などから下関港へとシフトさせるといった変化が生じていると指摘している(36頁)。
8 ソニーは関釜フェリーを利用した部品供給を行っている。韓国ソニー電子向けに、国内メーカーが製造した集積回路等の部品の7割をフェリーで運んでいる(『朝日新聞』2001年1月28日)。
9 『朝日新聞』2001年1月28日より。
10 2001年3月1日〜3月7日の1週間の調査結果である。ただし、1週間の調査であるため、特殊要因の影響を受けている場合があり得る。
11 関門地域の地場中小企業における異業種交流、産学協力、韓国向け国際化戦略等の現状分析を行うことが課題であるが、これに関しては別稿(次年度研究)に譲ることにしたい。
12 大田テクノマートでのヒアリング(2001年9月22日)及び関連資料より。
参考文献
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岡田知弘、川瀬光義、鈴木誠、富樫幸一[1997]『国際化時代の地域経済学』有斐閣.
経済産業省九州経済産業局[2001]『九州アジア国際化レポート2001−深化する環黄海地域の経済交流』経済産業省九州経済産業局.
菅原秀幸[1999]「グローバリゼーションの行方」青木健、馬田啓一編『地域統合の経済学』剄草書房.
高木直人[2001]「大競争時代の環黄海経済圏」『季刊中国総研』no.14,vol5-1,79-89頁.
通商産業省編[2000]『通商白書(総論)平成12年版』大蔵省印刷局.
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西川潤[2000]『世界経済診断』岩波書店.
深川由起子[1999]「[韓国]相互戦略的関係の構築を」『Intellectual Cabinet』1999年10月号、No.17
(At: http://ww.tkfd.or.jp/jp/research/).
森英裕[2001]「新たな展開が期待される九州経済圏貿易」『九州経済調査月報』2001年11月、vol.55,27-36頁.
山崎朗[2001]「日韓海峡経済圏の形成とロジスティツクス」(九州大学韓国研究センター開設記念国際シンポジウム2001).
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