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6 韓国の交通インフラ施設整備
日本と韓国間の経済・産業・文化などの面における協力・交流が増大しており、これらの動きを支えるのが空路、海路および陸路の交通インフラ・システムおよび施設である。従って、国および地域の政策上、将来の動向を予測しインフラ整備のへの適切な対応をとることが極めて重要である。
韓国第二の大都市である釜山広域市は、わが国特に関門地域にとって重要な拠点である。本研究では関門地域と釜山広域市さらに韓国南部諸都市のインフラ施設の現状と関門地域と韓国間の交通リンクを探り、これらがどのように機能しているかを明らかにしたい。これらを踏まえてインフラ整備の将来展望や課題、関門地域との関係を探ることを目的とする。まず本稿では韓国におけるインフラ施設整備の現状について概観する。
1 環黄海経済圏と日韓
経済のグローバル化の進展の一方、地域の統合・協力・協調の動きも強まってきた。特に東北アジアに位置する日韓中の三国の間における交流が盛んになり、協力を探るさまざまな試みがなされている。この中で中国は国の規模および人口とも他の2国に比べて桁違いに大きいこともあって、特に北京、天津、大連、青島などの諸都市を含む地域が韓国と日本の九州および山口県などの地域と密接な関係がある。これらの地域を包括して「環黄海経済圏」と位置づけられている1/。
したがって日韓はこのなかに位置を占め、本研究で取り上げる関門地域と韓国南部はこの経済圏の一部に属することをまず念頭におきたい。この関門・韓国南部地域は広大な面積および大きな人口をもつ環黄海経済圏全体からみると必ずしも大きなシェアを占めているとはいえない。しかしながら経済・産業の面における統合・協力の進展という点からみると、重要度は高い。
さらにこの地域の東には「環日本海(東海)経済圏」があり、これにはわが国の日本海沿岸地域から北海道にかけてと韓国東海岸、北朝鮮、ロシアが含まれる。同時に豆満江開発を中心とする「北東アジア経済圏構想」もあり、これには中ロと北朝鮮が絡んでいる。それぞれの国が各自の利害を絡めて経済圏に期待を寄せている。したがって各国と経済圏構想の動向に十分に注意を払うことが必要であろう。
過去30年間にみられた東アジアの発展のなかで最も大さな変化を遂げたのは都市化の進展であり、韓国においても例外ではない。都市部の経済発展はいまも続いており、これが周辺の農村部からの人口を惹きつけ、都市部の膨張が進んでいる。本調査で取り上げる韓国南部地域の慶尚南道および全羅南道における主要都市の概況は次の通りである。この地域には釜山広域市を筆頭に大都市が集中し、それぞれの都市には固有の産業が発展している。
第1表 主要都市の面積と人口
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| 都市名 | 面積(km2) | 人口(万人、1999年) |
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| 韓国 | | |
| ソウル特別市 | 605.52 | 1,032.14 |
| 釜山広域市 | 758.21 | 383.14 |
| 蔚山広域市 | 1,056.09 | 102.73 |
| 浦項市 | 1,127.28 | 51.73 |
| 馬山市 | 329.46 | 43.59 |
| 光州広域市 | 501.42 | 135.96 |
| 光陽市 | 446.08 | 13.81 |
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| 日本(北九州市、山口県) | | |
| 福岡市 | 338.27 | 128.26 |
| 北九州市 | 483.71 | 101.08 |
| 下関市 | 224.05 | 25.12 |
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(出所)慶尚南道「慶尚南道統計年鑑」2000 全国市長会編「日本都市年鑑」2000 |
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1/「環黄海都市ネットワーク戦略−アジア経済危機から再生にむけて」『九州経済調査月報』 2001.2. |
2 韓国における交通インフラ整備の現状
わが国にとってもっとも近い外国である韓国との間には古くから多くの人と物の交流があった。かつては海のリンクが重要な役割を果たしてきたが、近代以降においては空路が加わって、交通手段のスピードアップ化が計られた。同時に海のリンクにおいても造船技術の進歩を反映して近代化が計られている。海上輸送においては、船舶の高速化およびコンテナー船の就航と貨物のコンテナー化による安全かつ効率的な大量輸送が可能となった。同時にこれらの進歩を支える港湾と空港設備の整備が計られ、交通手段の近代化・効率化がもたらした経済的利益は極めて大きい。韓国における交通インフラの現状を概観する。
(1) 空港インフラ
仁川国際空港
仁川広域市の沖合にある永宗島と周辺の海を埋め立てて建設され、2001年3月に開業した。韓国政府はそれまでの金浦国際空港に代わる新たな国際空港の建設を決定し、1990年6月の空港用地決定から10年の歳月を経て仁川国際空港を完成させた。空港建設に要した総経費は49億ドル(土地の取得と漁業権に対する補償を含む)、このうち40%は政府が出し、60%は仁川国際空港公社(IIAC)が銀行などからの借り入れによって調達した。空港の運営・管理は政府が100%出資のIIACが受け持つ。
現在平行する3,750メートル2本の滑走路により運営されているが、最終の第2期工事が完成する2020年には4,200メートル滑走路4本に拡張される予定である。現在の第1期完成時点と第2期完成時に計画されている各種施設の能力は第2表の通りである。
第2表 仁川国際空港の概要
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| 項目 | 第1期(2001年) | 第2期完成時(2020年) |
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| 土地総面積(1000m2) | 11,740 | 47,440 |
| 滑走路数 | 2 | 4 |
| 滑走路の長さ(m) | 3,750 | 4,200 |
| 旅客ターミナル(1000m2) | 496(ビル1) | 875(ビル2) |
| 貨物ターミナル(1000m2) | 175 | 806 |
| 駐機場面積(1000m2) | 2,338 | 6,274 |
| 駐機場数 | 91 | 293 |
| 発着回数 | 240,000 | 530,000 |
| 利用乗客数(100万人) | 30 | 100 |
| 搭乗ゲート(駐機スポット)数 | 44 | 158 |
| 貨物扱い高(万トン) | 270 | 700 |
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| (出所)IIAC |
旅客ターミナルはガラス張りで明るく、広々としている。貨物ターミナル地区には大韓航空(KAL)専用ターミナル、アシアナ航空(AAR)専用ターミナル、外国航空社用のターミナルがある。貨物上屋前にはジャンボ貨物機24機が同時に駐機してハンドリングが可能となっている。しかし一部貨物施設において貨物処理能力の不足から狭隘化の問題があると指摘されている。その原因としては主として二つある。ひとつは1997年のIMF緊急対策から一部の貨物上屋を当初の計画よりも小さく造ってしまったこと、そして二つ目は仁川から金滞空港のエアカーゴ・シティ・ターミナル(ACCT)への転送比率が当初の予定よりも低率にとどまっていることである。この問題を解消するために緊急調整が必要だと指摘されている1/。
仁川国際空港からソウル市内まで約52キロ、現在のところ交通手段としては唯一高速道路に頼らざるを得ない。車で約50分ないし60分だが、時に渋滞を起こしそれ以上かかることもあり、アクセスに課題を残している。空港に勤務する航空会社の職員や海外出張が多いビジネスマンからは、空港高速道路通行料(1万2200ウォン、往復)や空港使用料(1万9000ウォン)、駐車料金(6000ウォン)などが高いと苦情が出ていると報じられた2/。
現在40キロ東の金浦空港経由でソウル市内への鉄道が建設中であり、2006年の完成が予定されている。これが完成したときには、同空港の利便性は一層向上しよう。さらにソウルと釜山を結ぶ高速鉄道が現在建設中であり(後述(3)参照)、完成の暁には、韓国国内の高速交通地図は大きく塗り替えられるものと予想される。
IIACは将来アジアのハブ空港となることを狙い、仁川から半径2000キロ、3時間半の飛行時間の中には人口100万以上の40都市が含まれる(IIAC資料)という。
東アジア地域には近年シンガポールやマレーシア、香港、上海浦東など大規模国際空港の建設・開港が続くが、IIACはこれらと並ぶ地位を目指す。これらの空港との比較を示したものが第3表である。
第3表 東アジアにおける主要国際空港の比較
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| 空港名 | 開業 (年・月) | 滑走路 (数・長さm) | 旅客可能数 (100万人*) | 貨物扱量 (100万トン*) | 航空会社数 | 着陸料** (ドル) |
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| 仁川 | 01.3 | 2(3,750) | 30 | 2.7 | 46 | 2,800 |
| 関西 | 94.9 | 1(3,500) | 25 | 1.4 | 16 | 8,910 |
| 上海浦東 | 99.1 | 1(4,000) | 20 | 0.7 | 12 | 5,388 |
| 香港 | 98.7 | 2(3,800) | 35 | 3.0 | 56 | 4,674 |
| シンガポール | 80.7 | 2(4,000) | 44 | 1.0 | 57 | 2,315 |
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* 年間 ** ジャンボ機(B747-400)2時間の着陸料 (出所)IIAC |
現在の時点においても仁川空港の優位性は明らかであるが、さらに2020年に向けて大幅に拡張される点に注目しなければならない。他の空港と比較して仁川の着陸料の安さがシンガポールとともに目を引き、関西空港の料金は仁川の3倍強となっている。しかし多額の借入金を抱える仁川国際空港公社としては、金利が下がっているとはいえ、利払いが負担となるため、シンガポールとともに着陸料の値上げを検討しているという。同時に韓国政府こも建設費用負担の増額を要求しているが、政府は現在のところ公社に対し「収入を増やす方策を立てよ」との態度をとっているという3/。現在のところ開港後日が浅く、今後の展開を見なければならないが、この新空港の施設をフルに使っていかに効率よく運営していくかが重要な課題となろう。仁川空港は24時間開港体制をとっているが、深夜以降はもっぱら貨物便により利用されている。
IIACの隣接地域には、500部屋のホテル2つの開業が予定されているほか、8000平方メートルのショッピング街と264ヘクタールの自由貿易地域が計画されている(2005年の完成予定)。ここにハイテク産業や国際運送業などを中心とする民間企業の入居が予定されているが、詳細は不明である。
金浦空港
仁川国際空港の開業にともなって国際線の発着は新空港に移り、金浦は国内線専用の空港となった。大韓航空とアシアナ航空が国内の21都市との間で路線を運行している。市の西郊に位置し、鉄道で結ばれているので便利であるが、発着が深夜におよび周辺地域への騒音問題がある。仁川国際空港との間は高速道路を経由するバスで結ばれている。
金海国際空港
釜山広域市市街の西方15キロに位置する。国際線と国内線の二つのターミナルビルからなる空港は、ソウルの金浦空港に次ぐ規模を誇る。市内とはリムジンおよび路線バスによって結ばれている。KALとアシアナ航空などにより、福岡や大阪と結ばれている。日航は1990年のビートル便の運行により、福岡−釜山線を廃止した。
1/「仁川国際空港」『CARGO、2001年5月、p.50-52.
2/『東亜日報』2001年11月20日
3/IIACにおける事情聴取による。公社は当初民営を模索していたが、民間から十分な資金が調達出来ず、政府の出資に頼らざるを得なくなったという。
(2) 港湾インフラ
釜山港
釜山港は韓国第二の都市で人口383万人(1999年)の釜山広域市を支えるばかりでなく、韓国第一の国際港である。特にコンテナーの取扱高が急速に伸び、年間取扱高は現在香港およびシンガポールに次ぐ世界第3位となっている。国内では第二位の仁川港および第三位の光陽港(後述)を大きく引き離していることがわかる(第4表)。
第4表 韓国主要港におけるコンテナー貨物取扱高 (単位:1000TEU)
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| 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
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| 釜 山 | 4,726 | 5,233 | 5,753 | 6,310 | 7,540 |
| % | 91.5 | 89.9 | 90.3 | 85.5 | 82.7 |
| 仁 川 | 349 | 433 | 401 | 430 | 611 |
| % | 6.7 | 7.5 | 6.3 | 5.8 | 6.7 |
| 光 陽 | 17 | 19 | 59 | 417 | 642 |
| % | 0.3 | 0.3 | 0.9 | 5.7 | 7.0 |
| その他 | 111 | 136 | 159 | 220 | 323 |
| % | 2.1 | 2.3 | 2.5 | 3.0 | 3.6 |
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| 合計 | 5,203 | 5,281 | 6,372 | 7,377 | 9,116 |
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| (出所)釜山地方海洋水産庁 |
釜山港は1876年に国際港として開港し、最初の埠頭と桟橋が建設されたのは1906年であった。その後中央埠頭および第1〜4埠頭が1944年に完成している。1974年から1982年までの2次にわたる発展計画のもと、4つの埠頭(子城台コンテナー埠頭を含む)と国際乗客ターミナルが完成した。さらに第3次開発計画のもとで、神仙台コンテナー埠頭が1991年、続く第4次開発計画のもとで戡湾コンテナー埠頭が1998年に完成を見た。
これらの歴史を経て整備されてきた釜山港の各港区の現状は次のようになっており、そのうちのコンテナー埠頭の槻要は第5表のとおりである。
北港区
国際旅客ターミナル、第1-8埠頭と中央埠頭
コンテナー埠頭:子城台、牛岩、戡湾、神仙台
南港区
漁港
甘川港区、多大浦港区
内航貨物埠頭、シップヤード、セメント埠頭、甘川コンテナ
埠頭
第5表 釜山コンテナー埠頭の概要
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| | 総面積(平米) | 埠頭の長さ(米) | 年間コンテナー取扱(TEU) |
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| 子城台JasungdaeCT | 647,426 | 1,447 | 1,000,000 |
| 神仙台sbinsundae | l,038,534 | 1,200 | 1,280,000 |
| 牛岩uamCT | 159,258 | 500 | 360,000 |
| 戡湾GammanCT | 750,000 | 1,400 | 1,200,000 |
| 甘川GamchunCT | 142,333 | 600 | 370,000 |
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| (出所)釜山地方海洋水産庁 |
このほか港内コンテナーターミナルの混雑を避けるため、釜山港周辺に37のオフドック・コンテナーヤード(ODCY)がある。さらに釜山港の北方約30キロメートルの梁山市に内陸コンテナー基地がある。88万2千平方メートルの基地は市内のコンテナーヤードの混雑とコスト削減のために建設され、100万TEUのコンテナーを扱うことが出来る。
各埠頭別のコンテナー船寄港数および取り扱い実績は第6表および第7表の通りである。近年拡張工事を進めてきた戡湾埠頭の実績が伸びている。戡湾には2001年に年間取扱量48万TEUを予定する31万平方米の新ターミナルが完成し、今後取扱高はさらに増加しよう。このため従来見られた滞船・滞貨は現在でははとんど見られなくなったという。
釜山港ではPORT-MIS(Management Information System)およびEDI(Electronic Data Inter-change)を利用した情報のネットワーキング化を実現している。これによって船舶の入出港管理、荷揚げ、貿易業務などが自動化され、コストの削減およびサービスの向上・迅速化を実現した。従ってコストは日本およびアジアの他の港に比べて極めて低く抑えられている。港の業務は24時間体制により処理されているが、夜間はコストが割高なため貨物取扱量は少ない。
釜山港とヒンターランド間の貨物輸送は60%がトラック輸送、30%が鉄道輸送、10%が内航海運輸送となっている。
第6表 釜山港各ターミナルのコンテナー船寄港数(単位:隻)
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| コンテナー埠頭 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
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| 子城台JasungdaeCT | 1,681 | 1,871 | 1,181 | 935 | 1,156 |
| 神仙台shinsundae | 1,213 | 1,181 | 1,026 | 899 | 869 |
| 牛岩uamcT | - | 600 | 513 | 593 | 556 |
| 戡湾GammanCT | - | - | 645 | 849 | 1,427 |
| 甘川GamchunCT | - | - | 331 | 367 | 360 |
| その他 | 5,090 | 4,816 | 4,911 | 5,615 | 5,831 |
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| 合計 | 7,984 | 8,468 | 8,607 | 9,258 | 10,199 |
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| (出所)釜山地方海洋水産庁 |
第7表 釜山港各ターミナルのコンテナー取扱実績(単位:1000TEU)
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| コンテナー埠頭 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
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| 子城台JasungdaeCT | 1,697 | 1,808 | 1,228 | 885 | 1,434 |
| 神仙台shinsundae | 1,313 | 1,452 | 1,195 | 1,177 | 1,282 |
| 牛岩uamcT | - | 345 | 279 | 349 | 312 |
| 戡湾GammanCT | - | - | 886 | 1,398 | 1,769 |
| 甘川GamchunCT | - | - | 358 | 436 | 389 |
| その他 | 1,774 | 1,628 | 31,812 | 2,065 | 2,354 |
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| 合計 | 4,784 | 5,233 | 5,758 | 6,310 | 7,540 |
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| (出所)釜山地方海洋水産庁 |
釜山新港計画
釜山港の将来計画として、政府は同市西方の釜山市江西区に位置する加徳島北部周辺と対岸の水営区水営湾を埋め立てて新港を建設する事業を進めている。1995年に開始された事業は合わせて42億ドルの経費を掛けて2011年までの完成を目指す。新港はコンテナー船24隻が同時に接岸でさる埠頭を建設し、年間460万TEUのコンテナーを扱うことが可能となる。これにより釜山港全体の機能の拡大を通じてアジアのハブ港としての地位を確実なものとすることを狙う。拡張される港の施設が果して予想通り使われるかどうかは、今後の物流や港の経営にかかっている(終章の「特徴と課題」を参照)。
新港の建設は二期に分けて実行され、その概要は以下の通りである。
第8表 釜山新港建設計画
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| | 第1期 (1997-2006) | 第2期 (2007-2011) | 合計 |
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| 費用(億ドル) | 28 | 14 | 42 |
| 埠頭数 | 9 | 16 | 25 |
| 港湾区域面積(m2) | 2,080,000 | 2,970,000 | 5,050,000 |
| 後背地面積(m2) | 2,870,000 | 960,000 | 3,730,000 |
| 浚渫(百万m2) | 55 | 13 | 68 |
| コンテナー取扱能力(万TEU) | 200 | 260 | 460 |
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| (出所)釜山地方海洋水産庁 |
総経費42億ドルのうち、政府が13億ドル、民間が29億ドルを負担する。政府は防波堤(1.49km)と突堤(22.7km)の建設、小型船舶用の埠頭(1埠頭)、浚渫、土地および漁業権への補償費を支払い、民間側ではコンテナー埠頭(24埠頭)を建設する。
光陽・麗川港
釜山の西約150キロメートルのところに全羅南道の光陽市と麗川(ヨス)市がある。この二都市の港が光陽湾を挟み南北に対峙する麗川港と光陽港である。南港の概要は第9表の通りである。
第9表 光陽・靂水港の概要
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| | 岸壁延長距離 (m) | 年間貨物取扱能力 (万トン) | 取扱貨物 |
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| 光陽港 | 11,728 | 13,729 (96万TEU) | 化学原料・製品、鉄鉱石、鉄鋼製品、セメント、コンテナー |
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| 麗水港 | 3,423 | 244 | セメント、一般貨物 |
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| 計 | 15,151 | 13,973 (96万TEU) | |
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| (出所)麗水地方海洋水産庁 |
歴史的には麗川市の方が古く、麗川港が開かれたのは1923年であった。1979年にはエチレンを生産する麗川石油化学コンビナートが開設された。
一方の光陽港は比較的歴史は新しいが急成長を遂げている。港は1969年石油化学工業の設立にともなって開かれ、1982年浦項総合製鉄所(POSCO)の光陽製鉄所開設により、港の拡張工事が1986年に完成した。韓国コンテナー埠頭公団(KCTA)は釜山港の代替港として光陽港を選び、コンテナーターミナルの建設を開始した。第1期として1998年に完成をみたのは5万トン級船舶用の4埠頭、2万トン級の4埠頭であり、年間取扱能力は96万TEUとなっている。さらに第2期として5万トン級および2万トン級各4埠頭が2002年までに建設され、第3期計画としては5万トン級の12埠頭が2011年までに完成することになっている。第3期の計画完了時には、コンテナーの年間総取扱能力は528万TEUに達する見込みである。開発計画の概要は第10表の通りである。
第10表 光陽港コンテナーターミナル開発計画
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| | 第1期 | 第2期 | 第3期 | 合 計 |
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| 建設期間 | 1987-98 | 1995-2002 | 2002-2011 | 1987-2011 |
| 建設費(億ウォン) | 5,400 | 5,451 | 11,052 | 21,903 |
| 建設の内容 | | | | |
| 岸壁(km) | 1.4 | 2.3 | 4.2 | 7.9 |
| 道路(km) | 6.0 | 15.5 | 5.0 | 26.5 |
| 鉄道 | 2.5 | - | - | - |
| 停泊能力(1000DWT) | 50×4 | 50×4,20×4 | 50×12 | 50×20,20×4 |
| 貨物取扱能力(1000TEU/年) | 960 | 1,440 | 2,880 | 5,280 |
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| (出所)麗水地方海洋水産庁 |
両港の貨物取扱高は第11表の通りである。1987から97年までの10年間に海外貿易、沿岸輸送とも急速な伸びを示している。
第11表 光陽・麗水港の貨物取扱高(単位:1000トン)
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| 1987 | 1990 | 1993 | 1996 | 1997 |
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| 輸出入 | 27,412 | 47,576 | 73,441 | 89,760 | 95,105 |
| 沿岸輸送 | 14,197 | 23,584 | 32,908 | 42,436 | 39,082 |
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| 計 | 41,609 | 71,160 | 106,349 | 132,196 | 134,188 |
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| (出所)麗水地方海洋水産庁 |
光陽港は特に釜山港とともに、韓国におけるコンテナーターミナルの一大拠点としての発展が期待されている。事実、光陽港におけるコンテナー貨物の取扱高は急速に伸びており、2000年には仁川港を抜いて韓国で第2位の座を占めるに至った(第4表参照)。
特に光陽港は東アジアのハブ港として、中国を視野に入れて開発が進められていることに注目したい。中国は2001年12月にWTOへの加盟を実現させ、改革開放の一層の進展とともに、コンテナーによる運輸需要の増大が予想されよう。したがって中国北部地域へのトランシップメントの需要を見越して、港湾施設の拡張ばかりでなく、効率の増進を目指したソフト面の充実にも力が注がれている。1996年に船舶運航サービス(Vessel Traffic Service,VTS)を導入し、船舶航行の安全と貨物の流れの迅速化が図られた。さらに情報処理の電算化のためのPORT-MISおよびEDIの導入が計画されている。
馬山港
馬山市には1973年馬山輸出自由地域が設けられ、日本をはじめドイツ、アメリカなどの合弁企業が入り、IT、電子、繊維製品などの輸出を行っている。関連の日系企業は50数社が進出している。馬山の北には慶尚南道の道庁がある昌原(チヤンオン)市があり、1970年代に機械工業団地が造られた。
馬山港は華山港と光陽港の中間点に位置するが、馬山市および昌原市の一般貨物とコンテナー貨物を扱う。これらの施設の概要は次の通りである。
第12表 釜山新港建設計画
| 【1】−般貨物施設 |
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| 埠頭 | 延長(m) | 停泊能力(トン) | 貨物の種類 |
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| No.1 | 292 | 8,000×2 | 鉄鉱石、木材 |
| 中央埠頭 | 波止場 | はしけ | 集合物 |
| No.2 | 563 | 3,000×3 | 沿岸貨物 |
| No.3 | 420 | 20,000×2 | 鉄鋼、冷凍魚類 |
| No.5 | 420 | 20,000×4 | 鉄鋼、木材 |
| Seohang埠頭 | 1,017 | 20,000×4 | 木材 |
| Doosan埠頭 | 240 | 20,000×1 | 機械類 |
| (出所)釜山地方海洋水産庁
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| 【2】コンテナー(埠頭No.4) |
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| 総面積 | 118,626平方メートル | | |
| コンテナー・ヤード | 44,822平方メートル
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| 鉄道コンテナー・ヤード | 20,388平方メートル
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| 停泊能力 | 20,000トン×5 | | |
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| (出所)釜山地方海洋水産庁 |
(3) 鉄 道
朝鮮半島に初めて鉄道が開通したのは1899年、現在のソウル特別市の郊外から仁川市の手前までの16.9キロであった。国内で最も重要な路線である京釜線(ソウルー釜山間、444.5キロ)が全通したのは1905年、翌年には北の中国国境の新義州までの京義線(390キロ)が開通した。その後、湖南線(大日−木浦)、京元線(竜山−元山)、中央線(清涼里−慶州)などが建設されていった。
しかし第二次大戦後の朝鮮半島の南北分断により京義線はムンサン( 漢字表記では“さんずい”に文の山)まで(ソウルから46キロ)、京元線は新炭里まで(ソウルから88キロ)で途切れている。2000年6月の南北朝鮮首脳会談後の閣僚会議により、南北間で鉄道再連結工事に合意した。その結果韓国側は2000年9月に工事に着工し、軍事境界線の南北2キロに設定されている非武装地帯を除く2.7キロについて、2001年9月までにレール敷設や駅舎整備などを完了した。しかし北朝鮮側の軍事境界線から開城までの12キロの区間はまったく進んでいない1/ 。
交通部の鉄道庁が経営する韓国国鉄(KNR)の路線網は、現在3,130キロメートルの営業キロになっている。国内各地の都市へ向かう列車はソウルにある二つの駅(ソウル駅と清涼里駅)から発着する。
首都ソウルと地方の主要都市間には超特急「セマウル号」、特急「ムグンフア号」急行「トンイル号」が運行されている。ソウルと南部三都市への運行状況は第12表のようになっている。
第13表 ソウルと三都市間の超特急運行状況
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| | | 距離(km) | 表定時速(km/h) | 所要時間 |
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| ソウル−釜山 | セマウル号 | 444.5 | 106.8 | 4:10 |
| | ムグンファ号 | | 92.0 | 4:50 |
| | トンイル号 | | 85.0 | 5:15 |
| ソウル−光州 | セマウル号 | 359.9 | 99.1 | 3:38 |
| ムグンフア号 | | 81.2 | 5:09 |
| トンイル号 | | 76.4 | 5:29 |
| ソウル−木浦 | セマウル号 | 418.5 | 94.4 | 4:26 |
| | ムグンフア号 | | 84.3 | 4:56 |
| | トンイル号 | | 76.4 | 5:29 |
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(出所)高垣雄こ郎「韓国交通事情総論」p.62. |
輸送量がもっとも多い京釜線の場合、セマウル号が日に19本、ムグンフア号が28本、トンイル号が2本運行されている。途中人口230万人の韓国第3位の都市大邱市と人口120万人で第6位の都市大田市を経由する。
鉄道は高速道路網の建設・充実にともなって、車との競争が避けられない。旅客輸送では約85%が高速バス、自家用車の利用となり、鉄道のシェアは15%に落ち込んだ。しかし貨物輸虐の面では依然として鉄道輸送がシェアを落としながらも好まれ、特に長距離輸送では優位に立っている。
主要貨物別の鉄道輸送量の最近7年間の動向は第14表の通りである。全体の輸送量は年々落ちているが、鉱石や石灰、セメント、油類において重要な輸送手段となっていることがわかる。
第14表 主要貨物別鉄道輸送量 (単位:1000トン)
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| | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 |
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| 米穀・雑穀 | 61 | 45 | 23 | 17 | 20 | 12 | 11 |
| 鉱石 | 4,298 | 3,957 | 4,015 | 3,790 | 3,117 | 2,690 | 2,513 |
| 無煙炭 | 9,798 | 7,237 | 6,509 | 5,893 | 5,972 | 4,225 | 4,054 |
| 肥料 | 1,610 | 1,542 | 1,500 | 1,081 | 908 | 735 | 630 |
| セメント | 4,478 | 3,713 | 3,363 | 3,099 | 2,664 | 1,706 | 1,512 |
| 油類 | 6,197 | 6,016 | 5,644 | 4,626 | 3,713 | 2,418 | 2,678 |
| その他 | 32,246 | 33,878 | 35,021 | 33,508 | 35,739 | 29,735 | 29,177 |
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| 計 | 58,688 | 56,388 | 56,075 | 52,014 | 52,133 | 41,521 | 40,575 |
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| (出所)「韓国経済年鑑」2000. |
高速鉄道建設計画
韓国政府は1983年にソウル−釜山間の新たな交通手段としてに高速鉄道を建設することを決定した。1991年韓国高速鉄道建設公団が設立され、ソウル−大田−大邱−慶州−釜山の430.7キロのルートを選び、1992年着工した。フランスTGVの技術を入れて、時速240キロメートルを出す高速車両(Korean Train Express,KTX)が導入される。しかし着工以来の計画修正や1997年の通貨危機の影響を受けて、当初の1998年完工予定から大幅に遅れた。
第一期の計画では、ソウル−大邱の高速専用線を建設し、残りの釜山までの区間では在来線に乗り入れる方式が採られ、2004年4月の運行開始が予定されている。大邱−釜山間の高速専用線を建設する第二期の完成は2010年が目標となっている。現在4時間10分を要する、ソウル一釜山間の所要時間は、第一期完成時点では2時間40分に、第二期の完成時には1時間56分に短縮される2/。開通後には新線は主として旅客輸送に、在来線は貨物輸送に当てられる。
地下鉄
主要都市内の交通手段として地下鉄がソウル釜山、大邱、仁川の四都市に開通し、市民への足を提供する。ソウルの地下鉄は1974年に1号線が開通し現在8号線まである(営業キロ89.Okm)。1号、3号、4号線は国鉄線と相互直通運転を実施している。釜山では1985年に1号線が開通し、現在2号線まである(54.9km)。大邱では1997年に1号線が開通し(1998年の残部完成により現在24.9km)、1号線と交差する2号線の工事が行われている。仁川の地下鉄は韓国で最も新しく、1999年10月に開通し、現在21.9km。ソウルと仁川とを結ぶ国鉄京仁線と接続する。このほかの都市では光州と大田に建設中である3/。
1/『毎日新聞』2001年9月15日
2/鈴木滋男(2001)「韓国高速列車(KTX)試乗報告」『鉄道車両輸出組合報』No.206(2001.1),pp.6-7.
3/日本地下鉄協会編(2000)『世界の地下鉄−115都市の最新情報』
(4) 高速道路
韓国最初の高速道路は1968年に完成したソウルと仁川間24キロの京仁高速道路である。その後1970年代に入り「全国の一日生活圏化」を目標に建設が進められ70年代半ばころまでには全国の70%が一日で往復出来るようになった。経済発展にともない自動車登録台数は増加し、これとともに道路交通量は年間10%を超える成長率を遂げ、同時に道路建設も進捗している5つのカテゴリーに分類された韓国の道路の延長距離は第15表のようになる。
第15表 韓国の道路区分と延長(1996年末)
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| 区 分 | 延長距離 (km) | 舗装道路 (km) | 舗装率 (%) |
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| 高速自動車国道 | 1,886 | 1,886 | 100.0 |
| 国 道 | 12,464 | 12,185 | 97.8 |
| 特 別 市 道 | 14,857 | 13,251 | 89.2 |
| 県 道 | 17,146.9 | 12,528 | 73.1 |
| 市 長 村 道 | 35,989 | 19,990 | 55.5 |
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| 合 計 | 82,342 | 59,840 | 72.7 |
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(出所)高速道路調査会『世界の高速道路』(1999) |
高速道路の総延長は1886キロに達し、道路全体の舗装率は72.7%にのぼっている。日本と比較した場合、国土面積当たりの国道以上の道路延長は日本とほぼ同じ、国道および県道の舗装率では韓国が日本を上回る1/。
1/高速道路調査会「世界の高速道路」、p.199.
3 韓国交通インフラ建設の特徴と課題
韓国における空港および港湾を中心とする交通インフラの開発状況を概観したが、それらに見られるいくつかの特徴点について触れておきたい。
まず第一にこれまでの韓国の経済開発過程に見られたと同様に、交通インフラ整備に関しても中央政府の強い指導のもとに進められてきたことである。政府が発展計画をつくり、これを強力な行政指導により推進している。その結果、極めて大規模なインフラがはぼ計画通りに実行されてきたといえよう(前述の京釜新線建設計画は例外として)。
第二に政府により将来を見据えて長期にわたる計画が練られ、それを実現するために中期の計画が立てられ、政府が資金を割り当て、各種基幹インフラ整備が進められてきた。
第三に東アジア地域全体を視野に入れて計画が立てられ、実行されている点に注目したい。日本は勿論だが、特に中国の将来の発展を強く意識しており、それを見据えた計画・投資が行われている。
第四に国際的な事情に加えて、韓国国内の事情がインフラ施設の開発・整備にも色濃く出ていることが否定できない。なかでもよく知られた韓国南部を東西に分ける慶尚道と全羅道(それぞれ南北の二道からなる)間の地域対立である。慶尚南道の釜山港と全羅南道の光陽港の拡張などにそれが現れている。これらの開発は中央政府の責任であるが、地域の意向が無視出来ないことはいずれの国においても同様であろう。
第五に国際港間の競争力を高めるために物流の効率化、手続きの低廉・簡略化、24時間体制などに積極的に取り組んでいる。このため情報技術(IT)を活用し、船舶の出入港と貨物の輸出入関連業務のための先進的な電子情報処理システムが構築されている。これらはPORT-MIS(港湾管理情報システム、KLNET(韓国物流情報通信)およびKTNET(韓国貿易情報通信)などと、連結され、迅速・正確化、ペーパーレス化(書類処理の撤廃)役所に出向く時間の節約などに貞献している。さらにKROIS(鉄道貨物運送情報システム)およびKAMIS(通関システム)とも結ばれ、効率化が計られている2/。
第六に韓国のインフラ開発の将来を考えるに当たって深く関わってくると思われることは北朝鮮との関係である。2000年6月韓国の金大中大統領の平壌訪問により両国間の関係改善が進むかにみえたが、その後再び停滞し目立った動きはなく、将来の展望は不透明となっている。そのうち最大の眼目である南北間の鉄道の連結には韓国および国際的な関心が極めて高い。
以上見てきた大規模なインフラ開発計画は主として1992年以来の金泳三前大統領の下で立てられ、実行に付されたものである。この時期韓国では「世界化」の掛け声のもとに国内の大型公共投資が 次々と実行され、海外からのの投資もあって韓国主要財閥の企業活動は活発化した。一人当たりGDPは1万ドルの大台にのり、金大統領は、国内一部の時期尚早論を押し切って1995年にOECD加盟(アジアでは日本についで2国目)を果たした。バブル化した経済は、まもなく1997年秋にアジア通貨危機の影響を受けて崩壊の危機に見舞われることになる。そしてIMF体制のもと、経済の再建および財閥・金融などのリストラを迫られることになった1/。
従ってこのような巨大なインフラ施設を如何に有効に活用して利益をあげるか、投資した資金を回収するかが今後の重要な課題となろう。仁川国際空港および釜山港と光陽港に見る限り、さらに大規模な開発計画が進行中であり、いずれも東アジアのハブ空港・港としての地位の確立を狙っている。今後これらの施設の能力を十分に活用するだけの航空および海運輸送量の伸びは期待できるのだろうか。貨物の奪い合いにおいて過当競争になるおそれも否定出来ない。施設を活用するために近隣諸国、特に日本との協調は欠かせないことになってこよう。関門地域にも直接間接かかわってくる問題である。
このような韓国における取り組みに対してわが国の空港および港湾施設の能力低下は明らかである。わが国では財政改革のもと、交通インフラ建設を含む公共事業には逆風が吹いている。このようななかでわが国としてはどう対処すべきか、今後交通インフラの整備をどのように進めるのか(政府と民間の役割分担を含めて)、どのように韓国など東アジア地域の国々と協力していくのかなどの検討が課題となろう。特に釜山を中心とする韓国南部地域は関門地域と向き合い、日本への関心が高い。今後実効的な協力を模索・構築していかねばならないだろう。
1/金亨奉(2001)「韓国港湾の情報化の現状」p.408-414.
2/松本厚治、服部民夫編著(2001)『韓国経済の解剖−先進国移行論は正しかったか』p.1.
参考文献
今里滋編著(1999)『アジア諸都市政府の比較研究、福岡、釜山、上海、広州l』九州大子出版会
小原浩平(2000)「物流効率化を目指した港湾整備の方向『輸送展望』No.253,pp.19-25
韓国貿易協会(2000)『韓国を中心とする東アジア国際物流のあり方』
金亨奉(2000)「20世紀を迎える韓国の港湾事情 前編、後編」『CONTAINER AGE』2000年2月−3月
金亨泰(2001)「韓国港湾の情報化の現状」『港湾荷役』2001年7月、p.408-414.
高速道路調査会(1999)『世界の高速道路』
「仁川国際空港」(2001)『CARGO、2001年5月、p.50-52.
鈴木滋男(2001)「韓国高速列車(KTX)試乗報告」『鉄道車両輸出組合報』No.206,pp.3-9.
高垣雄二郎(1996)『韓国交通事情総論』弘済出版社
高木直人(2001)「大競争時代の環黄海経済圏」『季刊中国総研』5(1),pp.79-89.
中島廣、山田俊英(1998)『韓国の鉄道−100年を迎えた韓国の鉄道大百科』JTB
日中韓3国シンクタンク共同研究報告会(2001)「環黄海都市ネットワーク戦略−アジア経済危機から再生に向けて」『九州経済調査月報』2001.2,pp.15-33.
日本地下鉄協会編(2000)『世界の地下鉄−115年の最新情報』山海堂
松本厚治、服部民夫編著(2001)『韓国経済の解剖−先進国移行論は正しかったか』文眞堂
宮崎博人(2000)「韓国東海岸港湾の現状」『ERINA Report』37.pp.11-19.
和久田康雌、広田良輔編(1990)『アジアの鉄道』吉井書店
「国際協力時代の日韓国土政策シンポジウム」(1999)『NIRA政策研究』12(4),pp.4-57.
全国経済人聯合会(2000)『韓国経済年鑑』(韓国語)
Busan Metropolitan City(2000):Busan Statistical Yearbook,39thIssue(韓国語、英語)
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