現在の日本は自由経済の資本主義社会です。自由な経済活動を否定したり、妨害したりすることはできません。しかしだからと言って、その自由は、何をしてもよい、他人の迷惑を顧みなくてもよい、ということではありません。「他人の自由と両立する限りでの自由」、これが近代市民社会の自由です。
大学の研究室は、自宅の書斎とは異なり、基本的に社会に開かれています。しかし、どうなのでしょうね。不動産や証券、資産運用などのセールスの電話は。自宅ならまだしも、勤務中の研究室です。研究や授業の最中にいきなり無遠慮に割り込んできて、こちらの状況にはまったくお構いなし。
「税金の負担感をお持ちではありませんか。××を所有すると税金が還付され、節税ができます。」「納税は国民の義務です。納めるものを納めてこそ、発言もでき、権利の行使ができるのではありませんか。あなたの発想は国民としての自覚を欠いていますよ。」
「確かな情報があります。リスクはほとんどありません。ほっておくだけで資産が増えます。資産運用にいかがでしょうか。」「運用する資金がありません。そもそもお金は労働の対価です。額に汗して働いてこそ、ものの価値が分かるのです。売買の差額でお金を得るのは間違っています。そうは思いませんか。」
「1件200円で個人情報を仕入れているのですから、それなりの時間お話をさせてくださいよ。」「……。」
こんなやりとりを繰り返した挙句、気がつきました。どうやら同じ会社から何度も電話がかかってきている場合がありそうです。話の内容や声の質に覚えのあるものがあります。しかし、先方はまったく気が付いていない様子。記録を付けてみることにしました。合わせて個人情報の入手先も尋ねてみました。
やはりそうです。同じ会社からのものがいくつもあります。「前回お電話をいただいた折に、興味も関心もないのでもう電話をしないでください、名簿から削除してください、と申し上げたはずです。いったいどういうつもりなのですか。」「当社には部署が6つあり、それぞれが名簿を持っていますから、別の部署の担当者が電話をすることもあります。複数の名簿にお名前が掲載されている方もありますしね。」「それは、こちらの問題ではなくて、お宅の会社の内部の問題ではありませんか。」
「いつ、どの部署のだれが、どの名簿のどの人に電話をし、その返事がどうだったか、というデータベースをお作りになられてはいかがですか。そして、その情報を社内で一元的に管理するシステムを構築しない限り、お宅の会社はこの先ずっと人に迷惑を掛け続けることになりますよ。」「それはとても大変なことで……。」「今後も同じことを繰り返されるのであれば、当局に法的な対処を相談することになりますが、それでもよろしいですね。」「はい、分かりました。もう二度と電話をかけません。」
1年後、再び同じセールスの電話。「もう二度と電話をかけませんと言っておきながら、また電話をかけてくるのは、ウソをついているということですよね。ウソつきは社会的に許されないことです。こんなことでいいと思っていらっしゃるのですか。」「ウソつきはいけないことです……。」私の提案したデータベースとその一元的な管理システムは実現していない模様です。もちろん記録なんて残されていないのでしょうね。分かりました。今後は、私が記録を教えてさしあげましょう。
不動産業界のすべての企業が執拗な迷惑電話をしているわけではないのでしょう。そう思わせる電話があった。例によってマンション購入。やりとりはこんな感じ。
「失礼ですが、会社名とお名前をもう一度おっしゃってください。」
「××××の××です。こういう内容に関心をお持ちですか。やんわりとお断りになる方もありますが、二度と掛けてくるな、ガチャン、という方もあります。」
「私は後の方ですね。迷惑して困っている。今後は電話をしないでほしいのですが、個人情報はどうやって入手されたのですか。」
「独自のデータベースを持っています。」
「名簿業者ですか。」
「まあ、そうです。」
「はっきりお断りしますので、もう二度と電話をしないでください。」
「はい、分かりました。」
「とか言って、データベースを共有している社内の別の担当者からまた電話があるのではないですか。」
「そんなことはありません。」
「どうしてそう言えるのですか。別の担当者が電話をかけないようにするシステムでもあるのですか。」
「クレーム登録です。はっきりと意思表示のあった場合にはクレームとして対応し、その電話番号を社内で登録します。そうすると電話回線レベルでそれ以降電話が通じなくなる仕組みです。」
「お宅の会社が独自に開発されたのですか。」
「いいえ。詳しいことは知りませんが、電話会社のシステムとして導入されています。」
「(なるほど、電話回線のシステムか)」
「営業の仕事は、評判が一番大切です。そういう意味でクレームへの対応が最も重要になります。会社の規模が大きく担当者の人数が多いと、とてもリストなどで対応することはできません。そのための電話回線のシステムです。」
「それじゃ、その登録をしてください。」
「はい、クレーム登録をさせていただきます。もし何かありましたら、××××の××を思い出してください。では、失礼します。」
最後はしっかり営業のセリフ。しかし、「クレーム対応が最も重要」とか、「電話回線のシステム」など、この種の営業電話ではいまだかつて聞いたことのない内容。そういうことを意識している不動産業者もいるのだなあ。ちょっと見直したかな。しかし、記録を調べたところ、この会社の別の担当者から以前に電話があったことが判明。やはり不動産業界は……。(2004/09/22)
【×××からメール】
新たな展開。×××からメールが来た。当ページをご覧になられた模様。インターネットの世界ですもの、いずれこんなことにもなるだろう、という覚悟はありました。まさか、×××をかたったいたずらメール、あるいは新種の営業戦略、なんてことはないでしょうね。どうもお詫びのようですが、いまさらそんなこと言われても……。さまざまな思いが脳裏を巡る。はて、どう対処したらよいのでしょう。う〜む。
送信者: ×××
宛先: <nishida@shimonoseki-cu.ac.jp>
送信日時: 2004年9月16日 19:09
件名: 迷惑電話の件
西田 雅弘 様
はじめまして、×××の××と申します。
今回はじめて、西田様のホームページを見させて頂き、貴重なご意見
として受取りました、当社でもすでに対応策を検討しており、今後
二度とそのような事が起こらないためのシステムを構築中です。
この度は、誠に申し訳ございませんでした。
※メール文面の掲載について、事前に担当者と電話でお話ししました。 |
送信者: 西田雅弘
宛先: ×××
送信日時: 2004年9月23日 14:11
件名: Re: 迷惑電話の件
××× ××さま
はじめまして、西田と申します。ホームページをご覧いただきあり
がとうございます。貴社の迷惑電話について、お詫びのメールをい
ただきましたが、正直なところ当惑しています。「二度とそのよう
な事が起こらないため」とおっしゃっていますが、にわかには信じ
られません。×××から「二度と電話をしません」と言われ
た後、繰り返し電話がかかってくるのを嫌というほど経験してきた
からです。
「すでに対応策を検討」されているとのことですが、はたして信用
できるのでしょうか。いくつか質問をさせていただき、その回答を
踏まえた上で、お送りいただいたメールの真意を判断させていただ
きたいと存じます。ご多忙とは思いますが、よろしくお願いいたし
ます。
【1】いったい状況をどのように把握されているのでしょう。事態
の深刻さに比べ、お詫びがあまりに安易です。私がホームページへ
の掲載を決意したのも、さらにその前段階として記録を付け始めた
のも、いずれもその直接のきっかけは、長年に渡る貴社の執拗な迷
惑電話にありました。
学会に出席すると、大学の先生方との雑談で貴社の迷惑電話のこと
が話題になります。まったく面識のない他大学の先生から×××
の迷惑電話に閉口しているというメールをいただくこともあります。
大学関係以外の方からも、×××の迷惑電話の撃退法について
問い合わせをいただくことがあります。その中にははっきり「社会悪」
と明言されている方もあります。×××の迷惑電話はいまや社会
問題になっている、と私は見ています。
過去にさかのぼって考えると、この何年もの間に貴社が社会的に与
え続けられた精神的苦痛、それどころか業務の中断による実質的損
失、これらの累積がいったいどれだけ甚大なものかという自覚が
メールの文面からはまったく読み取れません。事態がお分かりに
なっていないのではありませんか。現状の把握のないところに、対
策も改善もあり得ません。
具体的にどのような現状認識をお持ちなのでしょうか。またどのよ
うな仕方で問題点を把握されているのでしょうか。ご説明をお願い
します。
【2】「システムを構築中」とのことですが、そのシステムの内容
は具体的にどのようなものですか。私がこれまで伺った会社の中に
は、営業担当者間でメモを回す、というのがありました。しかし、
その会社から立て続けに電話があり、問い質したところ、「新入社
員がメモを回し忘れた」という上司の方の説明でした。本気で対応
策を講じているとは思えない事例です。
二度と×××からの電話を受けなくて済むシステムとは、どのような
システムなのですか。なるほどと納得できる内容のシステムでない
限り、これまでに失われた貴社の社会的信用を回復することはでき
ません。具体的な内容のご説明をお願いします。
【3】「当社でもすでに対応策を検討しており」という文面からは、
この対応策の検討が×××全体として、つまり会社全体としての
取り組みであることが伺われます。その取り組みのために、貴社
はどのような社内体制を整備されましたか。「×××係」がその
担当というのではあまりにお粗末です。
もし、事態の深刻さに気付かれ、これを改善しようと真剣にお考え
なのであれば、具体的なシステムの構築以前に、まず取り組みのた
めの体制作りをするのが順序でしょう。対応策のために貴社は新た
にどのような社内体制を整備されましたか。ご説明をお願いしま
す。
【4】構築されたシステムがうまく機能して、今後多くの人たちが
×××の迷惑電話を受けなくて済むようになったとしても、これまで
の貴社の社会的影響を消し去ることはできません。貴社の急成長
の背後に、迷惑電話による甚大な社会的被害があることを見過ご
してはいけません。
利益のためには他人の迷惑を顧みないという貴社のこれまでの企業
姿勢に対して、会社として反省の自覚はお持ちでしょうか。また社
会的な贖罪の心積もりはありますか。
以上の4点について、ご回答をよろしくお願いいたします。
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西田 雅弘 (NISHIDA Masahiro)
e-mail: nishida@shimonoseki-cu.ac.jp
http://www.shimonoseki-cu.ac.jp/~nishida/
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【×××訪問】
メールをいただいたとき、にわかには信じられなかった。一晩悩んだ挙句、直接先方に電話をした。対応策担当の当事者であることを確認した上で提案。「公開を前提にやり取りしませんか。うまくいけば、貴社の社会的信用を回復するきっかけにもなります。郵送の文書がいいですか、それともメールがいいですか」。その結果、メールでやり取りしましょう、ということになった。
こんなリベラルな姿勢は、これまでの×××のイメージからすると青天の霹靂。思いもよらぬ変容ぶりに戸惑いつつも大歓迎。経営方針の転換か、それとも経営陣の入れ替わりか。
しかし、返信はない。なぜだ。相手にしないという仕方で屈辱を与えることが最も有効な回答と考え直したとしか思えない。残念ながら当方は、組織内の人間関係にはまったくの門外漢。どんな社内事情があるにせよ、こんな仕打ちはないだろう。シカトを決め込む担当者に直接会って話を聞こう。東京出張のついでに、×××訪問を決意。どうせろくでもない会社に違いないのだ。
出張前日、気ぜわしく準備をしている研究室に外線電話。「×××の××と申します。都内のマンションのご案内ですが……」。はあ、返す言葉がありません。
目的地のアイランドタワーは、東京都庁などの林立するいわゆる西新宿の高層ビル群のうちにある。JR新宿駅から地下通路を抜け、いつものように地図を片手にキョロキョロ見回すが、目前の高層ビルに視界を阻まれ、要領を得ない。警戒中の守衛さんに尋ねて方向を確認。しばらくしてそれらしい高層ビルに行き着いた。
1階の案内板で確認。あった、株式会社×××。上層階の全フロアを占有しているようだ。へえ〜、お金持ちの会社なんだ。エレベーターを降りて角を曲がると、受付が見えた。
「お約束をされていますか」。事前のアポは取らなかった。そんなことをすれば断られるに決まっている。直接乗り込んで頑張るしか手はない。「担当はいま席をあけています」。決まり文句なんですよね、会いたくない時の。「メールをいただいたのでその件で」。食い下がる。
ややあってOLさんが登場。「私でよければお話をお伺いいたします」。来た来た。飛び込みの営業を相手にするときの常套手段なんでしょ、女の子出しとけよって。聞いています。そのまんまだなあ。「ご用件はいつお済ですか。それまで待ちましょう」。もう粘るしかない。
「応接室1」「応接室2」……とパーテーションで区切った小さなコーナーの1つに案内される。椅子は4つだけ。担当者もしくはその上司の責任者にお話を伺いたいと伝えるが、「会議中」を繰り返されるばかり。「門前払いではありません」とも。黙っているわけにもいかず、事情を説明して話を始める。
ん、ただのOLさんじゃないですね。受け答えは要領を得ている。聡明だ。しかもチャーミング!話題が核心に迫ってきたところで、「様子を見てきます」。ほらね、いらっしゃるんでしょ、そこに。「もう少ししたらお会いすることができます」。ヨッシャー!
比較的広い個室の応接室に移動。大きなテーブルと立派な椅子。AV機器もある。プレゼンとかするんでしょうね、ここで。しばらくして登場されたのは、ダブルのスーツがよくお似合いのおしゃれ系の部長さん。かなり突っ込んだ話をさせていただいたところ、正面から真摯に受け止めていただいている感じ。手応えはある。なあんだ、ちゃんとしているじゃないの。ろくでもない会社という予想はハズレだった。
帰り際、社内の一部を案内していただいた。熱意と緊張感に満ちて生き生きした職場という印象。迷惑電話のあの営業部ではありませんでしたけど……。
宿泊した都内のホテルでテレビを見ていると、ゴールデンタイムの天気予報に「提供×××」。へえ〜、こういう企業イメージなんですか。今回お話を伺った印象と、執拗で迷惑極まりないあの営業電話の印象がどうしても結びつかない。いったいどういうことなのでしょう。光と影か……。
お客様相談室のような窓口がないので、ひょっとすると経営陣は自社の営業の実態を把握されていないのかもしれません。企業としては、まだ途上なんですかね。対応策を検討中とのことですから、今後を見守りましょう。あ、部長さんは本当に会議中だったのかもしれません。恐縮。
「これ、いいわね」。せっかくなので、会社案内と営業資料をいただいて帰ったが、それが奥さまに見つかってしまった。「うちもついに都内にマンションね。待ってたのよ」。オイオイ、そうじゃないんだけど……。「でも、会社の人に会ってきたんでしょ。もうすぐね」。ヒエ〜ッ。何とかしてよお〜。(2004/10/12)
【×××から封書】
2004年も余日少なくなった折、×××から改まった感じの封書が届いた。裏には代表取締役社長の名前。うん?なんだこれ。私は×××の顧客ではないし、ましてや株主なんかでもないのに……。さては、これまでの悪行を悔いて心を入れ替えました、という反省文か。(笑)
「株式上場のご挨拶」。ほお。株式をジャスダック証券取引所に上場したのだそうだ。早速JASDAQホームページで確認すると、確かに「株式会社×××」がヒットする。残念ながら、当方はこの手の話題にはまったくの門外漢。興味も知識もない。上場したからって、いったいそれがどうしたの。商法の専門家の同僚に尋ねてみました。要するに、企業として一定の社会的評価を得たということのようです。へえ〜。
「これを機に、役員はじめ社員一同決意を新たに社業に励み、上場企業としての社会的責任を自覚し、地域社会に貢献すべく一層の努力を重ねてまいります。」これまでのような執拗な営業姿勢を改め、今後は迷惑電話をかけるようなことはいたしません、というニュアンスか。決意は大いに結構です。実行してください。今後を見守りましょう。×××の株でも買おうかな。(笑)(2005/01/13)
【マンション建築紛争】
リンク許諾の問合せメールをいただきました。今年4月から「個人情報保護法」が施行されるので、個人情報取扱事業者としての×××も、これまでのような迷惑電話はできなくなります。このところ音沙汰がなくなっていたのに、まだまだ困っていらっしゃる方があるのだなあ。そう思いつつメールに目を通す。「×××とマンション建築紛争……」。あれれ、おだやかではありません。
×××は、営業の迷惑電話だけではなく、マンション建築でも周辺住民の方々にご心配をかけているのですか。住民の方々にとっては、ただの迷惑どころではない切実な問題です。違法性や行政手続きに落ち度さえなければ何をしても構わないという発想は、社会的には受け入れられませんよね。社会には法制化されていない慣習や倫理もあるわけですから。
執拗な営業活動、強引な物件建築、いずれ必ず破綻するときが来ますよ。ジャスダックに上場してやっと企業としての社会的責任を自覚されたとばかり思っておりましたのに……。やれやれ。(2005/01/31)
【私はマンション買ってませ〜〜ん】
○「……そうですか。で、うちの評価はどうでしょうか?」
「あぁ……まぁ、インターネットとかにもよく載ってらしゃるからねぇ……」
○「あの教授のですか?」
「えぇ、まぁ、でもそれだけじゃないですけど……」
○「あっ、でもあの先生、あのあとマンション買いましたよ!」
こんな電話のやりとりがあったそうです。○はもちろん×××の営業社員。「あの教授」は当方のことだろうとピ〜ンときて、事実確認のメールをいただきました。「本当に×××のマンションを買われたのですか?」滅相もありません。私はマンションなんて買ってませ〜〜ん。
「あの教授」を特定する発言はなかったにしても、「×××」→「インターネット」→「あの教授」→「この私」という連想ゲームが成立するのかもしれませんね。「あのあと」の「あの」は、本社を訪問して営業本部長に迷惑電話をやめていただくよう直接お願いしたことを指すのかな。このところ、新聞の証券欄で目にするほか、すっかりご縁がなくなっていましたのに……。
もしも、「あの教授」=「この私」という前提で×××の営業社員が上のような発言をしているのであれば問題ですよね。事実無根のガセネタを営業活動に利用してるってことですからね。そういうことにならないためにも、もう一度、声高に繰り返しましょう。私はマンション買ってませ〜〜ん! 今後も買う気はありませ〜〜ん! ×××の株も買ってませ〜〜ん!(笑)(2006/03/18)