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学長室より

平成29年度入学式告辞(2017年4月5日)

 この度下関市立大学に入学された513名の新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。今年度、本学は、学部新入生として491名(うち留学生8名)、編入学生として19名、大学院には3名の新入生を迎えることができました。私は、下関市立大学を代表してお祝いを申し上げるとともに、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 下関市立大学は、1956年に開学した下関商業短期大学を前身として、1962年4月に4年制の下関市立大学として開学いたしました。2016年には、創立60周年を迎えました。創立当初は経済学部経済学科として発足しましたが、1983年4月に国際商学科、2000年4月に大学院経済学研究科、2011年4月に公共マネジメント学科が開設されました。現在、下関市立大学は、経済学部は3学科、大学院経済学研究科は1専攻を擁しています。下関市立大学の卒業生総数は19,782名に達し、本学は、こんにちまで、全国の国公立大学のなかでも有数の規模の経済学部・研究科を持つ大学として発展してきました。

 本学の教育と研究は、3つの理念にもとづいて行われています。第一は、「教育と研究の一体性を堅持し、教員の教育・研究能力と学生の『学ぶ力』をともに高めて、新たな知の創造に努めること」、第二に、「東アジアを中心に広く世界に目を向けた教育と研究を目指すこと」、第三に「地域社会の知的センターとして地域に根ざした教育と研究を推進すること」であります。本学は、この3つの理念にもとづいて2つの目的を達成することを目指しています。第一は、「バランスのとれた教養豊かな高度職業人を養成すること」、第二は、「地域社会及び国際社会の発展に寄与すること」であります。

 下関市立大学の特色の一つとして、学生の皆さんの出身地が比較的広域化している点が挙げられます。年によって違いはありますが、大まかに言えば九州地方が4割弱、中国・四国地方が4割強、関西、中部、関東、東北、北海道と広がるその他国内が15%前後、となっています。また、海外からも留学生を受け入れています。こうした多様な地域で生まれ、異なる環境のもとで育った学生諸君が下関市立大学に集い、ともに学び、生活し、活動することによって成長していきます。

 また、下関市立大学では、経済学部の経済学科、国際商学科、公共マネジメント学科、大学院の経済学研究科、さらには基礎・教養分野の多様なカリキュラムが提供されています。多様性を持つ教育は、先生がたの特色ある多様な研究によって支えられています。

 このような多様性を持つ本学において学び、活動することによって、皆さんは多様な選択肢の中から、ともに学ぶ友人や力を入れて勉学する分野や部活動を「選ぶ愉しみ」があると言ってよいでしょう。そしてその「選ぶ愉しみ」は、多様な可能性に繋がっていきます。皆さんには、本学において、多様な選択肢のなかからいろいろな組み合わせを作ることによって、勉学や人間形成において新たな発見や創造の可能性を切り開いて行って欲しいと願っています。

 本学に皆さんをお迎えできることは大きな喜びでありますが、私は、皆さんをお迎えするにあたり、学長として大切なことをお伝えしておきたいと思います。

 大学での4年間ないし修士課程での2年間は、幅広い知識とともに専門的知識を身につけながら人格を陶冶していく時間であります。大切なことは、大学での勉学にはこれまで皆さんが一生懸命に努力してきた高等学校までの学習とは異なる面があるということです。これまでの学習では、ある確立された知識の体系を吸収し、定型的な方法を用いて解答を導くことができました。しかし、大学では、確立された知識を吸収し、決められた方法を使って解答を導き出すだけでなく、答えのない問題の解決方法を考えてみるということも勉学の大切な要素になるということであります。そのためにも、確立された知識や方法そのものの妥当性や有効性に疑問を持つことが大切になってきます。なぜなら、皆さんが大学を卒業して実社会に出れば、そこには不確実で先の読めない、従って答えのない世界が待っているからです。そこには既存の知識や方法では解決できない課題がたくさん横たわっていることでしょう。皆さんには、実社会に出るまでの期間において、確立された知識を吸収すると同時に、答えのない問題を懸命に考えていく訓練をし、その習慣を身につけて欲しいと願っています。

 大学院修士課程に入学された皆さんは、高度で専門的な知識を身につけることを目指すという意味では、ここに述べた姿勢や取り組み方がなお一層求められると思いますので、未踏の問題や領域にチャレンジする精神を持ち続けていただきたいと思います。

 本日は、晴れの入学式にあたり、ご両親を始め、ご家族の皆様にもご出席いただき、ありがとうございます。この度のご入学に際しまして、ご家族の方々にも心よりお祝いを申し上げます。この大学生という時代は、学びたい分野の選択や友人関係の作り方、部活動のあり方、またそれぞれの活動への時間の配分などにおいて一定の自由度が認められ、またその一方でそれなりの責任も求められるという意味で高等学校までとは異なっています。我々大学関係者は、この期間が、知識を吸収し人格を陶冶しながら、大人として成長していくための過程として極めて大切な時期と考えており、学生の皆さんの教育のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。今後は、学生の皆さんの成長を、これまでより少し突き放しながら、温かく見守っていただければ幸いでございます。

 最後になりましたが、下関市立大学の新入生の皆さんの大学生活が実り多く豊かなものになることを祈念して、入学式の告辞といたします。

平成29年4月5日
下関市立大学
学長 川波 洋一