ホーム > 大学概要 > 学長からのメッセージ > 学長室より

学長からのメッセージ
理事長からのメッセージ
理念と歴史
3つのポリシー
教員研究業績・教員評価・授業評価
教育情報の公表(法定事項)
法人情報
シンボルマークとスローガン
教育活動
国際交流
卒業後の進路
広報
同窓会

学長室より

平成29年度下関市立大学春学期卒業証書・学位記授与式告辞(2017年9月30日)

 本日ここに、下関市立大学は14名の学士課程卒業生を世に送り出すこととなりました。卒業生の皆さんに対して、下関市立大学の教職員を代表して心よりお祝いを申し上げます。大学生の時代というものは、高等学校を終え、社会に出ていくまでの間、より高度な勉学を中心に据えながらも、様々なサークル活動、ボランティア活動、教員の方々や友人さらには社会の方々との交流を通じて人格を陶冶し、人間として成長していく極めて重要な時期にあたります。人生においてそれほど長い時間ではありませんが、そうした活動を通じて濃密で有意義な時間を過ごしたことと思います。皆さんは、これまでの大学生活での絶え間ない勉学の証として学士の学位を得、これからさらに社会の様々な場面において活躍して行かれる事になります。このような形で次のステップへ踏み出して行かれる節目の時に当たり、入学以来これまでの皆さんの研鑽と活動に敬意を表し、心からおめでとうと申し上げる次第です。

 下関市立大学は1956年に下関商業短期大学として創立されて以来、4年制大学への移行や、国際商学科の開設、大学院経済学研究科の開設、法人化への移行さらには公共マネジメント学科の開設を経て、今日まで60年の歩みを続けてまいりました。本年から次の60年へ向けての歩みを始めたところであります。本学は平成29年3月の卒業式・学位記授与式をもって19,782名の卒業生・修了生を輩出してまいりました。本日ここに14名の卒業生が加わることになり、卒業生・修了生の総数は19,796名に達したことになります。本学の創立は、日本経済が戦後の復興期を経て本格的に高度経済成長期に入って行く時期にあたっていました。本学は、交易の要衝であったこの地において、さらに高度な学問に触れたいとの若者の熱気と地元の人々の支援のもとに発足した高等教育機関にふさわしく我が国の経済社会の発展に必要な人材を世に送り出し、地域社会、国家の発展に貢献してきたということができます。このように毎年卒業生・修了生の数を積み重ねていくことによって、市大生のネットワークは日本全国及び世界中に広がっています。皆さんは、市大のOB・OGとしてその仲間入りをすることになります。このことは大変おめでたいことでありますが、併せて市大の卒業生としての責任を担うことにもなるということを申し上げておきたいと思います。

 この晴れの日にあたり、皆さんには、この卒業という成果が多くの方のおかげであるということに思いを馳せていただきたいと思います。市大の門をくぐった時、皆さん方の背後にはこれで大学に入学してくれたとホッとすると同時に、やや突き放しながら頑張ってほしいと願うご両親やご家族の姿があったはずであります。この大学生時代にあっても勉学やサークル活動、進路選択等々、様々な悩みや喜び、葛藤があり、そうしたことの一つ一つを、ご両親は温かく見守り、支え、励ましてくださったはずであります。これから、皆さんは、そうした突き放しながら温かく見守るというご両親の支えから、さらに自立して、自分の手で自らの人生を切り開いて行かなければなりません。これまでの支えに感謝しながら、これからの社会人としての歩みを始めて行っていただきたいと思う次第であります。大学においては、勉学や様々な活動の場において厳しくそして温かく指導してくださった先生へのご恩も忘れてはならないと思います。より深く高度な知識の習得に向けて、先生は真剣に対峙してくださったことと思います。皆さんにとって良き師との出会いがあったことと思いますし、そのことを皆さんの人生において大切にしていただきたいと念願いたします。さらに、皆さんの学習や生活において大きな支えになったのは、教務、図書、キャリアを始め様々な場面での職員の方々のお力添えであったと思います。勉学やサークルでの友人や先輩後輩からも大きな支えを得ることができたことと思います。そうした人々の支えがあって、晴れの日を迎えることができたのだということを今静かに噛み締めていただきたいと思います。

 下関市立大学を巣立つ卒業生の皆さんが飛び込んでいく現代の社会は、まさに激動の時代を迎えています。国内外で噴出する経済問題、政治問題、科学技術の発展、民族紛争等々を見ても分かるように、解決が極めて困難な問題が出てきています。皆さんは、大学に入学するときにこれからは答えが一つではない問題を考えていかなければならないということを言われたことがあるかと思います。しかし、これから皆さんが飛び込んでいく世界は、答えのない世界であります。しかし、皆さんは、仕事や日々の生活の様々な場面で大小多くの問題にぶつかり、その答えを見つける努力をしながら世の中を生きていかなければならないのであります。皆さんがこの大学で得た知識や経験は社会に出たのちに遭遇する問題を解決するには十分ではないかもしれませんが、より幅を広げ深めていくための大切な原点になりうると思います。そのためにも、この大学生活で身につけた知恵と力にさらに磨きをかけ、力強く生き抜いて行ってほしいと願う次第であります。

 最後に、誇りある伝統を担う下関市立大学の卒業生としての皆さんが立派に社会の一員としての責任を果たし、存分に活躍されることを祈念しながら、平成29年度春学期卒業証書・学位記授与式の告辞といたします。

平成29年9月30日
下関市立大学
学長 川波 洋一