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学長室より

平成30年度下関市立大学春学期卒業証書・学位記授与式告辞(2018年9月30日)

 下関市立大学は、本日ここに、20名の学士課程卒業生を世に送り出すこととなりました。私は、まず、晴れの日を迎えられた卒業生の皆さんに対して、下関市立大学の教職員を代表して心よりお祝いを申し上げます。皆さんは、本学に入学後、さまざまな課題を達成し、より広い交友関係を築き、師の厳しくも温かい指導を受け、そして社会とのつながりを経験しながら、これまで成長してきました。その成長の証として学士の学位を得、これから一人の自立した人間として社会の第一線に巣立っていくことになります。誠におめでたいことというほかはありません。これまでの皆さんの努力に敬意を表し、おめでとうと申し上げる次第です。

 卒業生のご両親、ご家族の皆様に対しましても、ここに学位記を得て、社会に出て行かれることについて心よりお祝いを申し上げる次第です。入学の折に、幾分不安と期待を感じながらも大学の門へ送り出してくださった日から大学生としての時間が過ぎましたが、その間、講義、ゼミ、サークル活動、ボランティア活動、教員の方々や友人さらには社会の方々との交流を通じて人格を陶冶し、人間として成長し、本日新たな世界へ旅立つこととなりました。ご両親やご家族の皆様には、卒業生の皆さんの活躍を、これまで同様温かくまた期待しながら見守っていただければありがたいと思います。

 この卒業という成果は多くの方のおかげであり、これまで皆さんの勉学を物心両面にわたって支え励ましてくださったご両親やご家族のほか、日々指導してくださった教員の方々、大学での活動にさまざまな便宜をはかってくださった教務、図書、キャリアを始めさまざまな場面での職員の方々のお力添え、かかわりを持った社会の方々の励ましや助言などの力があって成し遂げられたものであることを申し上げておきたいと思います。こうした方々への感謝の気持ちを忘れないでいただきたいと思う次第であります。

 下関市立大学は1956年に下関商業短期大学として創立されて以来、いくつかの重要な改革を経ながら今日まで約62年の歩みを続けてまいりました。本日の卒業生をもって、本学の卒業生・修了生の総数は20,338名に達しました。卒業生の皆さんは、市大のOB・OGとしてその仲間入りをすることになります。それ自体は大変おめでたいことでありますが、併せて社会において市大の卒業生としての看板を背負い、またその責任を担うことにもなります。市大卒業生の名に恥じない今後のご活躍を期待いたします。

 この晴れの日にあたり、皆さんには、はなむけとしてある経済人の残した言葉を紹介したいと思います。その経済人とは、現在の三井住友銀行の前身である住友銀行の頭取として経営にあたった堀田庄三氏であります。堀田氏は、1952年から1971年まで19年間にわたって住友銀行の頭取を務め、同行を堅実経営に基づく力強い銀行として育て上げ、住友銀行の中興の祖ともいわれました。堀田氏の秘書役を務め、後に住友銀行からアサヒビールに移り、同社を業界トップレベルにまで押し上げた樋口広太郎氏が日本経済新聞の「私の履歴書」で紹介された堀田氏の有名な言葉があります。堀田氏は、よく若手の行員に対し、「お・い・あ・く・ま」ということを言っておられたということです。ひらがなで「お・い・あ・く・ま」とはいったいどういう意味でしょうか。樋口氏によれば、「お・い・あ・く・ま」の「お」とは「怒るな」という言葉の最初の文字です。同様に「い」とは、「いばるな」の「い」です。「お・い・あ・く・ま」の「あ」とは「あせるな」、「く」とは「くじけるな」、「ま」とは「負けるな」という言葉の冒頭の文字です。すなわち、「怒るな」、「いばるな」、「あせるな」、「くじけるな」、「負けるな」のそれぞれの言葉の最初の文字を並べて「お・い・あ・く・ま」とし、自らの生き方の基本にしまた若い行員たちにもそれをすすめたということであります。何か気に障ることがあれば、感情的に爆発して怒ったり、権力や地位を笠に着ていばったり、無用に焦ったり、困難な場面ですぐにあきらめ、くじけたり、安易に敗北してしまったりすることを厳しく戒め、自らの生き方の規範にし、また後輩たちにもその生き方を示したのだと思います。私自身、若い時代にこの言葉に出会い、ひそかに自らの生き方のよりどころにしてきました。これから卒業生の皆さんが生きていく世界は、日々困難な問題が次々と噴出し、世界、国、企業あるいは地域、個人のそれぞれの次元でそれらに対処していかなければならない世界です。物事はうまく進まないことの方が多く、うまくいくにしても多くの労力と長い時間を要することのほうが一般的です。さまざまな状況で困難に直面した時、「お・い・あ・く・ま」すなわち「怒るな」、「いばるな」、「あせるな」、「くじけるな」、「負けるな」の5つのことばを反芻しながら自らを律し、励ましていくという生き方は参考になるかもしれません。それ以外にも、大学時代にいくつかの支えとなる言葉に出会った方もおられると思います。皆さんは、社会に出れば多くの困難に対し、大学生活で得た知恵と知識、経験を活かしながら立ち向かい、自分の手で自らの人生を切り開いて行かなければなりません。その際、この「お・い・あ・く・ま」を含め、いくつかの心に残る言葉を支えにしながら社会人としての歩みを始め、困難な時代を力強く生き抜いてほしいと願う次第であります。

 最後になりましたが、誇りある伝統を担う下関市立大学の卒業生である皆さんが立派に社会の一員としての責任を果たし、思う存分活躍されることを祈念しながら、平成30年度春学期卒業証書・学位記授与式の告辞といたします。

 

平成30年9月30日
下関市立大学
学長 川波 洋一