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理事長室より

平成27年度入学式祝辞(2015年4月4日)

 下関市立大学の平成27年度入学式にあたり、理事長として祝辞を申し上げます。
 厳しい入学試験を突破して、本学に入学された皆さんに心からお祝いを申し上げます。
また、皆さんを支えて下さったご家族をはじめ関係の皆さまにも、お慶び申し上げます。

 本学は、「海峡の英知。未来へ そして世界へ」というユニバーシティー・スローガンを掲げています。「未来へ、世界へ」と羽ばたく人材を育成することが目標であり、皆さんは、ひと、もの、情報が行き来し、世界につながる「海峡」に位置する下関の地で、グローバル社会に相応しい「英知」を身につけて欲しいと思います。
 本学には、海峡のまち・下関に相応しく、多様性と可能性をもった学生が全国から、また様々な国から集ってきており、この場での切磋琢磨によって、皆さんがタフでアクティブな人間に育っていくことを願っています。

 さて、皆さんが直面している日本及び大学をめぐる状況は、たいへん厳しくかつ変化に富んでいます。一方で、グローバル経済社会の進展によって、地球はひとつとなり、あらゆる面でグローバルな競争が激化しつつあります。他方で、中央と地方、都市と農村などの地域間格差、賃金、雇用などに起因する所得格差など様々な格差が生じており、とくに地方の将来が懸念されています。
 このようなグローバル化と地域間格差に直面して、日本の大学には、グローバル化に対応できる教育と研究及び地域づくりへの貢献というふたつの役割がとくに求められています。本学は、地域に根ざし、世界を目指す教育と研究を通じて、社会の中核で活躍できる職業人、東アジアなど国際社会で活躍できる人材、地域社会の担い手となりうる人材を育てることによって、地域社会及び国際社会の発展に寄与することを目指しています。このことによって、地方に所在する公立大学としての責任と役割を果たしていきたいと考えております。

 皆さんは、これまでの受験生活や時間に縛られた高校生活から解放され、大学における勉学と生活への期待と不安のなかで、今日の入学式を迎えられたことでしょう。
 学業に関して言えば、大学での学びは、高校までの勉強、とくに受験勉強とは大いに異なります。受験勉強には「正解」がありましたが、大学での勉学では必ずしも「正解」のないケースが多くなります、経済学は、理論、歴史、政策の3分野に大別され、さらに各分野が細分化されています。このような経済学の諸分野において、学問的な課題に対して唯一の正しい解というものはありません。大学で学ぶことは、問題を解きほぐして、課題を発見し、その解決のために仮説を立て、客観的なデータと論理的な方法によって解決策を見つけ出す能力、つまり「学問の方法」を身に付けることにあります。そのためには、これまでの学問の成果を学び、基礎的な学力と豊かな教養を身に付け、技法や手法並びに論理的思考力を磨くことが必要になります。大学での学びでは、知識を吸収することはもちろんのことですが、このような「学問的な考え方」を身に付けることが重要になります。そして、このことは物事を判断するうえでも、また生涯学び続けるうえでも大切なことだと考えています。
 また、大学生活は勉学だけに止まるものではありません。サークル活動やボランティア活動、さらには社会経験によって、良き友と交わり、大学と社会を知り、自らを磨き上げることも重要な大学生活をなしているといえます。

 最後に、大学生活をスタートする皆さんに、マンガの神様・手塚治虫からの「3つの贈り物」をわたしからお届けしましょう。「1つ 皆さんはやじ馬になって欲しい。何でもかんでも好きなことを全部とにかくかじって欲しいんです。」「2つめは 皆さんが今までにうけた あるいは これからうけるであろう 一番大きなショックな出来事を一生大事に持っていただきたい。きっと役に立つ。」「3つめに 命を大事にしましょう。」です。実はこの贈物は、手塚治虫がなくなる少し前に、ある中学校で行った「3つの贈り物」と題する講演でのものです(ザ・プロファイラー「手塚治虫 マンガの神様は究極の欲ばり」(NHK BSプレミアム、20014年11月12日放送)による)。
 この3つの贈り物を私流に受け止めると、若者は好奇心をもって、いろんなことにチャレンジして欲しい。その中から自分の進むべき道を模索してください。たとえ失敗しても、嫌なこと、つらいことがあっても、めげるのではなく、自分の命も他者の命も大事だと思う心があれば、一番大きなショックな出来事でさえも心の糧になるでしょう、というように聞こえてきます。皆さんのチャレンジや悩みなどに対して、大学は全力で支援することをお約束します。

 未来は若者の手にあります。新入生の皆さんが様々なことにチャレンジし、充実した学生生活を送られることを願って、お祝いの言葉といたします。

平成27年4月4日          
公立大学法人 下関市立大学   
理事長 荻野 喜弘