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下関市立大学

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#広報

新入生の皆さんへメッセージ動画を作製しました!

新入生の皆さんへ学長メッセージ

川波洋一学長・告辞(全文)

 この度、下関市立大学に入学された498名の新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。今年度、本学は、学士課程には465名、留学生として12名、編入学生18名、大学院修士課程に3名の新入生をお迎えすることができました。私は、希望に溢れて本学に入学された皆さんに対し、心から歓迎の意を表します。

 新入生のご両親をはじめ、ご家族の皆さまにも、心からお祝いを申し上げます。これまでの長い受験勉強の過程において、勉学がうまく進まなかったり、進路について悩んだり、体調を崩されたりとさまざまな困難があったと思われますが、この度、晴れて大学の門をくぐられることになったのですから、誠におめでたいと申し上げるほかはありません。これまでの物心両面にわたるご支援に敬意を表するとともに、今後は少し突き放しながらも温かい眼差しでご子息、ご息女の成長を見守っていただければ幸いであります。 10代の終わりから20代の初めにあたるこの大学生という時期は、人間がさまざまな知識を獲得し、いろいろな経験を重ね、多くの人や書物と出会いながら成長していく自立の過程であります。私ども大学関係者は、学生の皆さんがさまざまな困難にぶつかりながら一人の自立した人間として成長していく過程において、信頼できる教育機関として全力を尽くして参りたいと考えております。

 新入生をお迎えするにあたり、国内はもとより世界的に猛威を振るう新型コロナウィルス感染症の影響により、今年度の入学式を中止せざるを得なかったことは、誠に残念であり、申し訳ない思いであります。入学式は、より高度な学問への憧れと意欲に溢れた学生が大学教育というステージにおいて新たなスタートを切るための儀式として必要な機会でありますが、多くの人が集うことによって発生する感染症拡大のリスクを可能な限り回避するために、苦渋の決断をせざるを得ませんでした。誠に断腸の思いであります。入学式の中止以後に予定していた、オリエンテーションや健康診断、プレイスメントテスト、各種説明会、授業開始に向かっていくスケジュールを変更せざるを得なくなりましたが、大学としては、可能な限り教育に支障がでないように対処していく所存であります。

 これから、学生の皆さんが、本学において大学生として勉学をしていくに際し、大切なことを一つお伝えしておきたいと思います。それは、幅広い知識を主体的に獲得しようと努め、自分の頭で考え、その考えを自分の言葉で表現し、自分の主張や行動に責任を持ち、自立した人間として成長していく主体的学びの態度を身に付けることであります。
 現在、我が国の高等教育は大きな転換期にあります。2019年11月に公表された中央教育審議会の答申『2040年に向けた高等教育のグランドデザイン』においては、供給者目線の教育から学修者本位の教育への転換が謳われています。急速で複雑な変化が要される今から20年先の2040年を見据え、そこから逆算的に考えて、現在の高等教育においてどのような人材が育成される必要があるかについて提言した重要な答申であります。現代社会が複雑化・多様化・個別化するなかで世の中の不確実性や予測不可能性が高まり、若者が自立的に学修を進めていく能力を培うためにも学生の皆さんの主体的学びがますます重要になってきていることが背景にあります。具体的に2040年に求められる人材像として以下のようなことが強調されています。
すなわち
・基礎的で普遍的な知識・理解と汎用的な技能を持ち、
・その知識や技能を活用でき、
・ジレンマを克服することも含めたコミュニケーション能力を持ち、
・自律的に責任ある行動をとれる人材
であります。このような人材を育成するためには、高等教育において 「何を教えたか」という観点からではなく、「何を学び、身に付けることができたのか」という観点への転換は必要だと強調されています。学修者本位の教育と学生の皆さんの主体的学びが一体となることによって、これからの社会に真に必要とされる人材の育成が可能になると言えます。大学は、学生を一人の大人として認めながら対応していくことになりますので、皆さんはそれに応えて自らの主体的意思で学び、行動し、責任を持つ姿勢を身に付けるように努力していただきたいと願う次第であります。

 大学院修士課程に入学された皆さんは、さらに複雑化する社会において高度で専門的な知識がますます必要になることを肝に銘じ、学士課程にまさる自立的精神と主体的探究心の獲得に努めていただきたいと願う次第であります。課程修了の時点において自らの専門性を究極まで高めた優れた修士論文を完成させることを目指して大いなる研鑚を期待いたします。

 最後に、皆さん自身の大学生活が実り多く豊かなものになることを願って、2020年度下関市立大学入学式の告辞といたします。

2020年4月6日        
下関市立大学 学長 川波洋一